クリニックブログ

2020.07.312024.04.01

月経前のお酒は要注意!月経前症候群を悪化させたり、アルコール依存症になる恐れも!

月経前1週間ぐらいになるとイライラしやすいという人は多いのかもしれません。じつは月経前症候群(PMS)月経前不快気分障害(PMDD)等、生理期間前後の不調を抱える方は実は少なくないのです。

リラックスする手段として、または頑張っている自分のご褒美としてついお酒に手が伸びてしまう人はいませんか?実は、月経前のアルコールは月経前症候群を悪化させたり、アルコール依存症に結びついてしまう恐れがあります。

この記事では月経前症候群とアルコールとの関連についてお話しします。

月経前症候群・PMSの症状について心療内科が解説をしております

お酒のリラックス効果

「お酒で嫌なことを忘れることができる」、「お酒を飲むとテンションが上がって楽しい」。そんな人もいると思います。脳には色々な細胞がありますが、そのひとつの「理性の座」と呼ばれる大脳新皮質は、私たちが合理的に冷静に物事を考えたり、言葉を使ったりと様々な働きをしますアルコールはこの大脳新皮質の働きを緩めます。そのため、普段抑えられていたものが解放されて、感情が明るくなるのです。また、ドーパミンをたくさん放出させるので、楽しい気分になることもできます。

お酒の香りが好きという方もいますが、実はお酒の香りにもリラックス効果があります。ウィスキーやワインにはリラックス効果が、ビールの原料のホップにも気分を落ち着かせる効果があると言われています。そのため、自分のペースを守った適量のお酒であれば、お酒はストレス発散の役に立つと言えるでしょう。

月経前のお酒について

適量のお酒を飲むとリラックスできる。これは、事実です。しかし月経前となると、話が変わってきます。月経前になるとプロゲステロンやエストロゲンという女性ホルモンが急激に増えます。これらのホルモンには肝臓のアルコール代謝をゆっくりにする作用があります。月経前はいつもと比べて、アルコールがいつまでも体に残ってしまうので、お酒に酔いやすくなるのです。また二日酔いや悪酔い、むくみなどにも結び付きやすくなります。

月経前症候群の治療は名古屋市栄の心療内科へ

月経前症候群とお酒との関連

月経前症候群(月経前の1週間前ぐらいの心身の不調)とアルコールとの関連について、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学の研究者らによって2018年に発表された研究があります。この研究では、過去に行われた19の研究から月経前症候群とアルコールとの関連について調べました。その結果、アルコール摂取は月経前症候群のリスクを1.45倍高めること、特にアルコールの過剰摂取は月経前症候群のリスクを1.79倍高めることが分かりました。

この研究では、月経前症候群を経験したことのある女性にお酒の摂取量を尋ねているため、もしかしたら「月経前症候群の症状を和らげるためにアルコールをたくさん摂取してしまう」という因果関係の可能性もあります。とはいえ、月経前はお酒に酔いやすいことを考えるとあまり、月経前のお酒の摂取はおすすめできません

アルコール依存症にも要注意!

また、お酒の危険性は月経前症候群・PMSを悪化させることだけではありません。アルコール依存症にも注意が必要です。

月経前症候群・PMSの症状を軽くする手段としてピルや漢方薬などもありますが、これらは病院で処方箋をもらわなければ手に入れることができません。その点、お酒はスーパーやドラッグストアなどで簡単に買うことができ、月経前症候群のイライラなどの不快な症状を一時的に楽にしてくれます。しかし、そうやって月経前1週間ぐらいにお酒を飲む習慣が身に付いてしまうと、いつのまにか「生理痛を和らげるため…」、生理がないときでも「イライラしたからちょっとお酒でも…」というふうに飲酒習慣ができてしまいます。

飲酒習慣ができてしまうと、アルコール依存症の危険性が高まります。家族が一緒に住んでいれば飲み過ぎたときにはストッパーの役割をしてくれますが、一人暮らしの場合は飲みすぎには気を付けなければなりません。

「私は別にお酒好きではないからアルコール依存症になんてならない」と思う人もいるかもしれません。しかし、イライラや不安定な感情をお酒で楽にすることができたという経験から、アルコール依存症に発展してしまう人は決して少なくありません。むしろ、お酒を飲むことがなかった人は、自分のアルコールの限界や飲む習慣などのお酒との付き合い方が分かりません。気が付かないうちにタカが外れてしまい、飲み過ぎた結果アルコール依存症に…ということもあり得ます。

心療内科 ひだまりこころクリニック栄院は月経前症候群・PMSの診断・治療も行っております

まとめ

このように月経前のイライラや不調を解消するための手段としてお酒を使うのは、止めておいたほうがよいと言えます。月経前症候群・PMSの症状でイライラしてしまう人は多いですが、アルコール以外の手段でイライラを発散できる方法をこちらでもご紹介しております

ただ、普段は穏やかなのに月経前になると別人のようになってしまう人や、月経前の不調が非常にしんどいという人もいると思います。セルフケアでは月経前症候群・PMSの症状に対処できない場合は、心療内科クリニックや産婦人科クリニックなどに相談に行きましょう。

文献
Fernández MdM, Saulyte J, Inskip HM, et al. (2018). Premenstrual syndrome and alcohol consumption: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open;8:e019490. doi:10.1136/
bmjopen-2017-019490

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など