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2020.09.022024.04.01

緊張病とは

緊張病とは

緊張病(catantonia:カタトニア)とはDSM-5で新たに取り挙げられた診断です。

これまでは、統合失調症に関連して取り上げられることが多かったのですが、DSM-5 では統合失調症だけではなく発達障害双極性障害、更には抑うつ障害群などの精神疾患に関連して出現する、「緊張病」についても診断として付加できるように至っております。

つまりは、うつ病や双極性障害などのさまざまな精神疾患を抱えた患者さんに対して、緊張病を合併することもある事が認められ、より柔軟に緊張病という病状を把握することが可能となったのです。

実際に、緊張病の25~50%の患者は、うつ病双極性障害などの気分障害が多いと言われており、統合失調症に関連した方は10%であると言われております。

緊張病について名古屋市栄の心療内科・精神科・メンタルクリニックが解説しております

緊張病とは、精神疾患に関連したものばかりではない

緊張病とは、精神疾患以外にも、身体疾患など他の医学的疾患による緊張病の出現に関してもDSM-5では取り扱っております。

感染症や脳炎、脳変性疾患、脳腫瘍やてんかん、低ナトリウム血症・高ナトリウム血症などの電解質異常等でも緊張病は起きうるとされています。

また、精神疾患や身体疾患などの医学的な直接原因では説明がつかない原因不明の、「特定不能の緊張病」もあります。

さらに、薬物に影響されて、緊張病症状の出現する可能性がある事には、十分な認識が必要です。

緊張病の診断・症状とは

緊張病の診断には12の特徴のうち、3つ以上の症状の存在が重要です。

【症状①】昏迷(精神運動性の活動がない、周囲と活動的なつながりがない)

【症状②】カタレプシー(受動的にとらされた姿勢を重力に拮抗したまま保持する)

【症状③】蠟屈症(他者が姿勢を取らせようとすると、ごく軽度で一様な抵抗がある)

【症状④】無言症(言語反応がないか、わずかしかない)

【症状⑤】拒絶症(指示や刺激に対して反対する、あるいは反応がない)

【症状⑥】姿勢保持(重力に抗して姿勢を自発的・能動的に維持している)

【症状⑦】わざとらしさ(普通の所作を奇妙、迂遠に演じる)

【症状⑧】常同性(反復的で異常な頻度の、目的指向のない運動)

【症状⑨】外的刺激の影響によらない興奮

【症状⑩】しかめ面

【症状⑪】反響言語(他人の言葉を真似する)

【症状⑫】反響動作(他人の動作を真似する)

緊張病の治療は

緊張病の特徴的な症状のために、日常生活や身体面の安全を確保することが困難、食事が摂れないなどの事情があるために、多くの方が入院の治療を要することがあります。

また、必ずしも精神疾患に伴う緊張病ばかりではないために、身体疾患やそのほかの医学的な原因を、薬物を含めて否定確認するために、採血などの検査の他、画像検査や、原疾患のお薬の減量や調整などを図ることもあります。また緊張や症状を緩和させる目的で、抗不安薬であるベンゾジアゼピンやECT・電気けいれん療法を行う事があります。

緊張と緊張病は大きく異なる

緊張病はその症状が数か月から年単位で持続することがあります。

また、緊張病の診断基準として挙げられている症状は一般的に感じやすい、「緊張の高ぶり」とは納得しづらいほどの症状内容となっており、意識レベルも低下から上昇を強く行き渡っていることが緊張病の特徴であると考えます。

参考:DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など