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2020.01.182024.04.01
抗うつ薬の再発予防の有効性はどれくらい?薬を中断したらどんな問題が起こるか?
抗うつ薬の再発予防の有効性はどれくらい?薬を中断したらどんな問題が起こるか?
うつ病は非常に繰り返しやすい病気です。そのためうつ病の再発予防として、専門医としては抗うつ薬を患者さんに服用し続けてもらいたいところですが、往々にして患者さんは抗うつ薬を飲み続けることを嫌がります。そのため、抗うつ薬の中断症状もしっかり把握しておく必要があります。
この記事では、抗うつ薬の再発予防の有効性や、抗うつ薬の中断症状について説明します。
うつ病の再発予防に抗うつ薬は非常に有効
ご存じの通り、うつ病はエピソードを繰り返すほど再発しやすいです。ある研究では、3回以上の抑うつエピソードを経験している患者さんを対象に、抗うつ薬の継続投与と、プラセボの継続投与、最初の3年間は抗うつ薬を投与して途中からプラセボを投与する条件を設けた実験を行いました。
その結果、抗うつ薬をずっと飲み続けていた患者さんでは5年経っても20%の患者さんしか症状が悪化していませんでした。反対にプラセボを投与した条件では、6ヶ月もすると60%の患者さんの症状が悪化し、2年経過したころにはほとんどの患者さんの症状が悪化しました。また3年後からプラセボ投与に切り替えた条件では、3年間抗うつ薬を飲み続けている間はほとんどの患者さんで症状が悪化しませんでした。しかし、プラセボに切り替えて1年も経たないうちに、50%近くの患者さんの症状が悪化しました。この実験結果からも、いかに抗うつ薬がうつ病再発に有効であるかが伺えます。また、抗うつ薬を継続投与した研究のメタ解析からも、抗うつ薬の継続投与によりうつ病再発のオッズ比が約2/3減ることが分かっています。
長期間服用しているからといって、抗うつ薬はその効果が減弱することはありません。そのためうつ病の再発予防投与として、成人では急性期と同じ量の抗うつ薬を投与すべきであるとガイドラインでは推奨されています。またNICEでは、特に2回以上抑うつエピソードがある場合や、感情だけではなく機能障害も起こった場合に、2年間は抗うつ薬を継続したほうがよいことを提案しています。
抗うつ薬を継続して服用してもらうために、患者さんに伝えるべきこと
うつ病の患者さんに伝えるべきこととしては、以下があげられます。
- ・単回エピソードの場合は、寛解後も少なくとも6~9カ月は抗うつ薬を服用すべき。反復エピソードの場合は数年に渡る治療が必要
- ・抗うつ薬の服用を続けることで、うつ病の再発リスクを減らすことができる
- ・抗うつ薬はきちんと服用する。断続的な服用では抗うつ薬の効果が発揮されない
- ・抗うつ薬を中断するかどうかは患者さんが主導で判断することだが、抗うつ薬の服用を急にやめてはいけない
抗うつ薬の中断症状
抗うつ薬をやめると判断することもあると思います。しかし、一部の例外を除き、抗うつ薬は服用を急にやめると、以下の中断症状が出る恐れがあります。
- ・感情系:易刺激性
- ・消化器系:悪心
- ・運動神経系:運動失調
- ・血管運動系:発汗
- ・感覚神経系:感覚異常
- ・その他:夢の増加
中断症状が出る患者さんの割合は1/3と言われており、決して少なくはありません。数日間ほどで症状が消失するとはいえ、中断症状への不安が症状をより強く感じさせる恐れがあるので、中断症状について事前に患者さんに伝えておく必要があります。
一般に、抗うつ薬は4週間以上かけて中断していきます。なお、抗うつ薬の副作用は服用し始めに出ることが多いですが、中断症状は減量の最後に出ることもあります。一日の総投与量の相対的な変化の問題です。そのため、抗うつ薬の減量は最後まで慎重に行わなければならないこともあります。
とはいえ、患者さんによってはきつくてもいいから中断症状で苦しむ期間を短くしたいという人もいれば、期間は長くてもいいから中断症状は軽めのほうがよいという人もいます。そのため、どのくらいのペースで抗うつ薬を減らしていくかは患者さんと相談し、その人のペースで減らしていく事が大切になります
まとめ
抗うつ薬はうつ病の再発予防に大きな力を持っています。しかし、患者さん自身の考えや、年齢、併存疾患の観点から抗うつ薬の服用を続けないという判断をすることも場合によってはあり得ます。ただ自己判断で決めてしまうのではなく、医師と相談しながら治療に取り組んでいく事が何よりも大切なことなのです。
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