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2025.07.152025.07.16

強迫性障害とは何か?その症状と背景にある思考パターンを解説

強迫性障害とは何か?その症状と背景にある思考パターンを解説

「ドアの鍵を閉めたか気になって何度も確認してしまう」「手を洗っても洗っても、まだウイルスが残っている気がする」。このような行動を、自分でも「やりすぎ」と分かっていながらやめられない。それは、もしかすると「強迫性障害(OCD)」の可能性があります。

本記事では、強迫性障害の基本的な症状から、関連する思考のクセ、さらには同じカテゴリに含まれる疾患までを専門的に解説します。

▶強迫性障害について詳しい説明はこちら

強迫性障害(OCD)とは?

強迫性障害とは、自分の意志とは裏腹に頭に浮かんでくる考え(強迫観念)にとらわれ、その不安や不快感を和らげようと、特定の行動(強迫行為)を繰り返してしまう精神疾患です。

代表的な例

  • 確認強迫➡「ガスの元栓を締めたか」何度も確認する

  • 洗浄強迫➡ウイルスや汚れが気になって長時間手を洗い続ける

これらの行動は、単なる心配性や几帳面な性格によるものではありません。本人が「意味がない」と理解していても、不安を打ち消すために繰り返さずにはいられない…その点が特徴的です。

DSM-5における位置づけ:「不安障害」から独立へ

かつては不安障害の一種とされていた強迫性障害ですが、アメリカ精神医学会が定める診断基準DSM-5では、「強迫症および関連症群(Obsessive-Compulsive and Related Disorders)」として独立したカテゴリーに再分類されました。

これは、強迫性障害の病態や脳内機能の異常が、パニック障害全般性不安障害などとは異なることが明らかになってきたことによります。

強迫性障害に見られる「不合理な思い込み」とは?

強迫性障害の根底には、特有の認知スタイル=「非現実的な信念体系」があります。以下のような思考のクセが、強迫観念や強迫行為を支えていることが多いのです。

1. 過剰な責任感

「自分がきちんと確認しなければ、何か重大な事件が起きてしまう」といった極端な責任意識。例えば、鍵の施錠を怠ると「家族に危害が及ぶ」とまで感じてしまう。

2. 災害・恐怖の過大評価

「最悪のシナリオ」ばかりが頭をよぎり、それを過剰に現実味のあるものとして捉えてしまう傾向。実際にはほぼ起こり得ない事態が、あたかも差し迫った現実のように感じられます。

3. 完全主義と不完全への恐れ

少しでも「やり残し」や「ずれ」があると、不快感が強まり、何度でもやり直したくなる。「完璧にできなかったら意味がない」と考えがちです。

4. 不確かさへの耐性の低さ

「確認した」という記憶があっても、それが100%確実でなければ不安になる。「もしかして」の可能性をゼロにしなければ安心できないのです。

5. 思考と行動の混同(思考-行為融合)

「恐ろしいことを思っただけで、それが現実になる」「悪いことを考えた自分は悪人だ」といった、思考そのものに過剰な意味づけをしてしまう。

OCDのさまざまなタイプ──強迫観念と強迫行為のバリエーション

強迫性障害と一口に言っても、症状の現れ方は多様です。以下のような型が見られます。

✅対称・秩序へのこだわり➡物の位置や数に極端にこだわる。「左右対称でないと気が済まない」など。

✅禁断的・攻撃的な思考➡暴力的・性的な考えが頭に浮かび、それを止めようとする。

✅加害恐怖型➡「自分が家族を傷つけるのでは」と不安になり、包丁を隠すなど。

これらの症状も、本人は「そんなことをするはずがない」と分かっていても、浮かんでくる思考に強い罪悪感や恐怖を感じ、行動に制限をかけざるを得なくなります。

「強迫症および関連症群」に含まれるその他の疾患

DSM-5では、強迫性障害と近い病態を示す疾患を同じカテゴリーにまとめています。代表的なものは以下のとおりです。

醜形恐怖症(身体醜形障害)

✅外見上の欠点を過剰に気にし、鏡のチェック、整形、過剰な化粧などを繰り返す。

他者から見ると「気にならない」「普通」であっても、本人にとっては深刻な悩み。

ためこみ症(ホーディング障害)

✅物を捨てることに強い苦痛を感じ、物が溢れかえる状態に。

ゴミ屋敷の背景にあるケースも。

抜毛症・皮膚むしり症

✅ストレスや緊張の高まりと関連して、髪を抜いたり皮膚をむしったりする行動を繰り返す。

痛みや見た目の問題よりも、「止めたくても止められない」苦しさが中心。

OCDは「甘え」ではなく、治療可能な疾患です

強迫性障害は、「性格の問題」や「ただの心配性」と誤解されがちですが、れっきとした精神疾患です。脳内のセロトニンの機能異常など、生物学的要因も明らかになっており、適切な治療によって症状は軽減できます。

主な治療法には、以下のようなものがあります。

✅認知行動療法(CBT)➡不安を高める思考パターンの修正と、強迫行為を徐々に減らしていく「曝露反応妨害法」などが用いられます。

✅薬物療法➡SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が有効とされています。

最後に:自分を責めず、適切な助けを求めましょう

強迫性障害に悩む人は、症状の非合理さを自覚しているがゆえに、「こんなことで悩む自分はおかしいのではないか」と感じ、ひとりで抱え込んでしまう傾向があります。

しかし、OCDは本人の意志や性格だけでどうにかなるものではありません。むしろ、思考のクセに気づき、適切なサポートを受けることで、生活の質は大きく改善されます。

心当たりがある方は、どうか迷わず心の専門家などに相談してみてください。治療は、症状を抑えるだけでなく、自分らしさを取り戻すための第一歩になります。

野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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