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2019.03.202024.04.01
気分循環性障害/気分循環症について
気分循環性障害/気分循環症とは
気分循環性障害は気分循環症とも呼ばれ、気分が不安定になり、軽い躁状態と軽い抑うつ状態を規則的に繰り返す疾病です。躁状態と抑うつ状態の間は、それぞれの症状現れますが、軽躁病エピソードと抑うつエピソードの基準は満たしていません。症状もそれほど重くないため、ふたつとは区別されています。
躁うつ病との類似点もありますが、比較すると症状は軽く、激しい気分変動もあまり見られません。そのため症状を異常なものだと気付くことが難しく、見逃されやすい病気です。5〜25才の間に発症しやすいとされますが、年齢を問わず発症する可能性があります。
気分循環性障害の症状
気分循環性障害の症状は具体的にどのような行動や感情に陥るのかを知っておきましょう。躁状態と、抑うつ状態を繰り返しますが、どちらの状態であっても症状が軽いため、見過ごしてしまうかもしれません。けれどそれらの症状を知ることで、病気にも気付きやすくなり、日常生活でも注意しながら過ごせるようになります。あなた自身や、あなたの周りの方の異変を感じたら確認してみましょうね。
躁状態
気分が異常に高揚し、普段よりテンションが高く活動的になります。眠らなくても元気に動ける、開放的になる、常に上機嫌でエネルギッシュな状態です。しかし、ただ陽気で明るいという訳ではなく、他者に攻撃的な態度を取ったり、根拠のない自信から尊大な振る舞いになり、問題を起こしやすい側面もあります。本人は気分が良いと感じているため、病気の症状であるとはなかなか気付くことができません。
躁状態のサイン
- ・楽観的
- ・活動的
- ・自信過剰
- ・話し続ける
- ・睡眠時間が少なくても平気
- ・買い物やギャンブルに大金を使う
抑うつ状態
抑うつ状態に陥るとエネルギーがなくなり、気分が落ち込んでしまいます。通常ならば気分転換や、時間の経過によって、その落ち込みは軽減されますが、抑うつ状態では自分で気持ちの切り替えができなくなるのです。
不安や焦りを感じたり、食欲の低下や睡眠リズムが狂うなど、身体症状が現れることもあるでしょう。悲観的な考えを消し去ることができないことに苦しみ、さらに症状がひどくなり悪循環に陥ります。
抑うつ状態のサイン
- ・悲観的
- ・無気力
- ・疲れやすい
- ・口数が減る
- ・意欲や集中力の低下
- ・人に会いたくない、一緒に過ごしたくない
気分循環性障害の特徴
気分循環性障害は、双極Ⅰ型障害や、双極Ⅱ型障害に移行することが多いのが特徴でもあります。クライアントが子どもの場合はADHDが同時に現れて受診する場合もあります。最初は入院が必要なほど重症でないかもしれませんが、気分の変動により社会生活に問題を抱えてしまうことが多く、治療が必要となるでしょう。
気分循環性障害の症状のために、周囲からは「気分屋」「短気」「問題行動を起こす人」として見られがちです。そのため人間関係のトラブルを抱えやすいと言われています。特に家族との関係性の悪化によって、発見されて診断を受ける場合も少なくありません。他者への攻撃性が高いため、社会に出てからも評価されにくく、社会生活に馴染めないまま悩んでいる方もいるでしょう。
しかし、気分が高揚しているときには、仕事のパフォーマンスも上がるといった面も持ち合わせており、見極めるのは困難です。躁状態では異変に対する自覚もないため、抑うつ状態のタイミングで受診する方が多いと言われています。
気分循環性障害の診断基準
DSM-5の基準では次のように決められています。
- A.短くとも2年間にわたり、躁状態と抑うつ状態が繰り返し現れる。躁状態は軽躁病エピソードや躁病の基準は満たさず、どちらにも当てはまらない。同様に抑うつ状態も、抑うつエピソードの基準は満たしていない。(クライアントが未成年の場合、少なくとも1年の発症期間と定められています)
- B.基準のAとBの症状が見られない状態が2ヶ月以上継続しない。またその期間が2年を超えている。
- C.躁病エピソード、軽躁病エピソード、抑うつエピソードの基準を満たしていない。
- D.症状の原因が、他の疾病や精神疾患では説明できない。
- E.現れる症状は、薬物の投与や、その他の外的要因によって引き起こされたものではない。
- H.症状によって苦痛に襲われたり、日常生活や社会生活に影響を及ぼしている。
(参考:DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 医学書院,American Psychiatric Association,監修 日本精神神経学会, 監訳 高橋 三郎/大野 裕)
気分循環性障害の原因
原因は未解明ですが、クライアントの家族も気持ちに激しい浮き沈みが激しい場合があり、遺伝的な要素も関係していると考えられています。また家庭状況や子どもの頃の体験など、生活環境が作用している部分も病気に影響を与えているとされるため、幼少期から気分をコントロールする力を身に付けることが大切です。
気分循環性障害の治療方法
薬物療法と、認知行動療法などの精神療法、生活習慣の改善などが治療法として用いられます。軽躁状態か抑うつ状態のどちらの症状を重点的に治療するのかを考えながら、治療法を選んでいくことになるでしょう。
薬物療法は双極性障害と同じように、気分安定剤と抗躁薬を服用することが一般的です。気分循環性障害は、うつ病や双極Ⅱ型障害に移行する可能性もあります。そのため症状や経過を慎重に見極める必要があります。治療薬は双極Ⅰ型障害にも効果のあるリチウムが使われます。効果が出るまで3〜4ヶ月必要です。最大の効果を得るには1年程かかるため、治療は焦らず長期戦で望むことが必要になるでしょう。
認知行動療法は「物事の捉え方」や「現実の受け止め方」といった、「認知」に焦点を当てて、行動パターンを変化させ、気持ちを楽にする治療法です。クライアント自身が自分の思考や行動の癖を認識し、ストレスに強い心を育てます。
自分の置かれた状況を主観的に判断し過ぎることなく、現実的な考え方で問題に対処できるようにすることが目的です。自分の認知を理解し、その偏りを修正していきます。多くの精神疾患に有効であるとされ、幅広く用いられるようになりました。
健康的な毎日を送ることも治療に効果的であるとされており、生活習慣を見直してみることも重要です。日常生活のルールを継続することや、睡眠時間を決めること、適度な運動、栄養のある食事、アルコールの摂取をやめるなど、身体に優しい暮らしが治療に繋がります。
すぐに治せる疾病ではないため、長期間の治療が必要になる可能性もあります。焦らずに気長に向き合えると気持ち的にも楽になれるでしょう。
まとめ
気分循環性障害は「気分屋」「気まぐれ」な人に見られてしまい、自分自身も病気だと認識しづらいため、気付かずに苦しんでいる方は多いはずです。他者とのコミュニケーションがうまく取れない、気分をムラがあまりにも激しく自己嫌悪に陥る、など社会で生きていくのが辛いと思うことはありませんか?もしかしたら気分順循環性障害かもしれないと、疑ってみましょう。気分の不安定さが生活に支障をきたしている場合は、性格として片付けてしまわずに一度受診してみるのもいいですよ。
仕事の成果に極端なバラつきが見られたり、転居や転職を頻繁に行ったりする行動も「飽き性」「一貫性がない」という理由ではないかもしれません。自分自身や、身近な方にそれらの傾向が見られたときには、無視せずに病気の可能性を考えてみてくださいね。適切な治療を行い、生きやすい環境や行動に変えていくことが大切です。
参考文献
精神疾患・メンタルヘルスガイドブック DSM-5®︎から生活方針まで 医学書院,American Psychiatric Association,訳 滝沢龍,2016
DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 医学書院,American Psychiatric Association,監修 日本精神神経学会, 監訳 高橋 三郎/大野 裕,2014
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