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2019.12.022024.04.01
【不安障害】心配性とはちょっと違う。苦痛な不安を感じていたら要チェック!
心配性な気質の方が日本人には多いとされております。
しかし、不安が強いために、眠れない、電車に乗ることができない、仕事に集中できなくてミスが多いなどの、日常生活や社会生活に支障が出てしまっている場合には、単なる「不安性」ではなく、「不安障害」かもしれません。
不安障害は特に精神疾患の一つであり、適切な治療や対処を行うことにより、症状をコントロールしたり、改善を図ることが可能です。ここでは、不安障害とはいったい何か、どうしたらよいのか等について簡単にご説明をしております。
不安障害とは何でしょうか?
不安と不安障害の違いについて
不安とは、次に起こりうることに対する、危険性の判断や緊張、大丈夫かどうか、どう対応したら良いのかと悩み考えてくることによって生ずる感情が不安です。
不安な感情は人間が、生命の危機や危険を避けて生活をしていくために、とても大切な感情です。不安な感情があるために、私たちはケガや大きなトラブルを回避するために、適切に行動を選択することができるのです。
また、そのような不安の為に、緊張をしたり、逆に頑張ろうと奮い立ったりなどのブレーキとアクセルとを、上手にコントロールをするための感情でもあります。そのために、不安という感情自体は悪い感情ではないのです。
しかし、ひとたび「不快な程」の“不安”、「自分が苦しむ程」の“不安”な感情が強く出現してしまったらどうでしょうか?
不快な不安感情や、苦しい不安感情の為に、行動や生活にブレーキがかかり、不安が頭から拭い去れないために行動がおっくうになってしまったり、次の選択肢が考えられなくなったり、ぐるぐると不安な感情が大きくなりすぎてどうしたらよいのか分からなくなってしまう等の、行動や思考の制限がかかってしまう事があります。
このような不安の感情が強くなってしまう事により、日常生活や社会生活に支障が出てしまう事や人間関係に支障を来してしまう事を、不安障害というのです。
不安障害には様々な種類があります
不安を感じる場面は、日常生活や社会生活の中で沢山あります。どのような場面で不安の症状が強く出るのか、また支障されている社会生活・日常生活はどういう面なのかに応じて、不安障害にもいくつかの分類があります。
代表的なものを以下に挙げますが、記載以外の分類や症状でも不安障害と判断される状況もありますので、気になられた方は心療内科やメンタルクリニックなどの医療機関へご相談されることをおすすめいたします。
【パニック障害】
突然、動悸や息苦しさ、息の詰まる感じが急激に襲ってきて死んでしまうのではないかと思う程の症状(パニック発作)が出てきてしまう障害です。ひとたび、このようなパニック発作が出現してしまうと、「次にまた発作が出たらどうしよう、、、と」パニック発作が出やすい状況や場面を避けて行動することを余儀なくされてしまう程に強烈なインパクトを持つ疾患なのです。
バスや電車、高速・トンネル、エレベーターやタクシーなど逃げられない環境やすぐに助けを呼べない状況では、「発作が出るかもしれない」といった予期不安が生じてしまう事でも苦しんでしまいます。パニック発作が起きたらどうしよう…」と思い、外出できなくなり、生活にも支障が出てきます。
【社会不安障害あるいは社交不安障害】
発表や朝礼等、人前で話す機会で、「人と話すときに顔が赤くなっていたり、変なことを言ったりしていないかな…」、「失敗して大勢の前で恥をかいたらどうしよう」と、人と接するタイミングで強い不安を感じて緊張や発汗や赤面、どもりなどの症状が出てしまう状況が社交不安障害です。そのような身体症状や不安の為に、人と接することや人前に出ることに苦痛を感じて避けてしまっている状態の人もいます。
【全般性不安障害】
しっかり働いていて大きな問題がないにも関わらず、「お金が全くなくなったらどうしよう…」、「仕事で大きなミスをして賠償を要求されたらどうしよう」、「クビにされたらどうしよう」など、色々なことが絶えず心配になる状態です。健康や天災・災害に関する不安感情も大きく、他の不安障害と違って特定のものに対しての不安ではなく、誰しもが感じる不安の内容ではありますが、その不安感情は強く継続的で不釣り合いな程度継続してしまうために、本人を苦しめてしまうのが、全般性不安障害の特徴なのです。
【強迫性障害】
「手にばい菌がついたんじゃないか洗わないときれいにならない」、「火をきちんと消したかどうか」、「ドアのカギをちゃんと閉めたか」など、きちんと行動が完了できたかが不安になってしまっているのです。きちんと行動を完了したか不安あるために、その一連の行動を再度完了して“確認”をしようとして、手が荒れるほど何度も手を洗ったり、カギをかける確認で何分間も外出する準備に時間をかけてしまったりしています。
あくまでも症状は一例ですが、「もしかして私も不安障害なのでは…」と思う方は、一度心療内科やメンタルクリニックなどの医療機関へ相談されることもおすすめです。
不安障害の「疫学」と「かかりやすい性格」について
2002~2006年度に厚労省の疫学調査によると、不安障害の生涯有病率は9.2%と報告もされております。生涯有病率とは、一生のうち1回はその病気になってしまう確率のことであり、10人に1人が生涯、不安障害になる可能性があるということです。
また、不安障害になりやすい方は、元々神経質であったり不安性であったりなどの性格を持たれている方も多いのです。
最初は不安性と思い込んでいた方や、元々緊張しがちだったと思い込んでいた方が、知らないうちに不安障害にかかっていたというエピソードは実は多くあります。
もし「不安障害」かもと思い当たる節がある場合は、心の健康予防のためにも受診や治療といった対応をされることをおすすめいたします。不安障害はうつ病などの合併率も高いと言われております。
不安障害の原因はセロトニン不足
不安障害の原因には遺伝や性格など色々な原因が挙げられていますが、まだ原因ははっきりとは解明されていません。
有力な説の1つとして、脳の神経伝達物質であるセロトニンの不足や量のバランス不良が挙げられます。幸せホルモン「セロトニン」の名前を聞いたことがある人もいるかもしれません。実は、セロトニンは気分の安定にも関わっており、うつ病や緊張や不安の感情にも関わっているとされています。そのため、セロトニンが不足すると、不安や緊張を大きく増幅させやすくなったり、強く感じやすくなってしまうのです。
不安障害への対応方法
(1)心療内科やメンタルクリニックへ相談してみる
一番おすすめしたい不安障害への対応方法は、一度心療内科やメンタルクリニックなどの心の医療機関へ相談に行くことです。
もちろん不安障害への症状や行動に対する対応方法が載っている本もありますし、食事療法や生活習慣を改善することでセロトニンを増やすとされる習慣も報告されております。ただ、どちらの方法も効果が出るのには時間がかかるという点を見逃すことはできず、その間にも日常生活や社会生活への悪影響がどんどん継続してしまう可能性も否定はできません。また、改善しよう、改善しなきゃ、これもあれもやらなきゃ!と頑張ること自体も、不安障害という病状にかかってしまっている間には実は非常にストレスとなり、心身を蝕んでいきます。
その結果、より不安障害の症状が悪化したり、抑うつ症状が強くなり、不安障害にうつ病の併発を伴ってしまう事もあります。
風邪等、体が悪くなったら病院にかかるように、まずは早期受診することが、しんどい症状が軽いうちに不安障害を治すことに繋がります。早期に対応することで、制限されていた日常生活や社会生活への影響を最小限に抑えることができます。
(2)労働環境の見直しも有効です産業医や人事部などに相談
不安障害は病気の一種です。病気になるような生活してきたということは、「今の働き方は体にとって危険だ!」と体が悲鳴を上げ、SOSのサインを出しているという意味もあると考えられます。ストレスや心的・肉体的な過度の負荷はないかどうか相談を産業医や人事部等の会社の機関と相談することも、病状を誘発させてしまう負荷のコントロールに寄与します。現在はストレスチャックなどのツールを使用して、産業医などの面接や人事部との連携などを強化している企業も多いです。
(3)お金については医療費の助成を頼る
心療内科やメンタルクリニックに通ったり、体調に応じて労働状況を変える、という面では、医療費や、医療費が与える生活費への影響などが不安になるかもしれません。お住いの地域や世帯収入にもよりますが、自立支援医療制度などの心療内科やメンタルクリニック・精神科の通院医療費やお薬代が0~1割負担になる医療制度も申請が可能となることがあります。
まとめ
冒頭でも述べましたが、不安に感じること、不安に思う事自体は、私たちが生活を営む上で、危険や問題に対応するためのとても大切な感情であり、悪いものではないのです。また、不安だから、より頑張れる、不安だから力が入ってしっかりと身構えて対応ができるという人も多くいます。
でも、不安がしんどくて、不安で苦しんでまで頑張る必要はありませんし、そのような自分を押しつぶしてしまいそうな不安の感情であれば不安障害かもしれません。
もし、「自分は不安障害かも…」と思い当たる節のある方は、お気軽に心療内科やメンタルクリニックなどの医療機関や、家族など身近な人に相談してみてください。
野村紀夫 監修
ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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