【広場恐怖症】外に出ることが怖くなってしまう事も

広場恐怖症は実は理解されにくい疾患

広場恐怖症の実態とは、「逃げ出せない場所」「不調でも助けてもらえないかもしれない場所」にいることへの恐怖

広場恐怖症とは、用語の通り公園や駐車場などの広い空間で、不安や恐怖が高ぶってしまう疾患でもあります。

しかし、現在では、広場恐怖症とは「すぐに逃げ出せない状況」「何か不調が起きた時にすぐに対応できない状況」「不調が起きた時に助けてもらえないかもしれない状況」にいることが不安で恐怖が高ぶってしまう事を含めた疾患となっております。

そのために、広い空間である必要はなく、公園や駐車場以外にも、デパートや駅、トンネル・橋、閉所、エレベーター、更にはバス・電車・タクシー、人ごみなどの場面でも、広場恐怖症の症状は出現してしまいます。

広場恐怖症はパニック発作を呈してしまう事も

特に、広場恐怖症は不安や恐怖の高ぶりだけではなく、時として強い身体症状や精神症状を伴うようなパニック発作を呈してしまう事があります。

特にパニック発作には基準があり13の特徴的な症状のうち、4つ以上を満たすことでパニック発作と判断されます。

①動悸・心拍数の増加、②発汗、③身震い・震え、④息切れ・息苦しさ、⑤窒息感・のどのつまり、⑥胸痛または胸部の不快感、⑦吐き気・腹部の不快感、⑧めまい・ふらつき・気の遠くなる感じ、⑨寒気・熱感、⑩異常感覚、⑪現実感消失・離人感、⑫抑制を失う感覚、⑬死ぬことに対する恐怖、などの症状がパニック発作の基準としては重要となります。

広場恐怖症はパニック障害と違う点

広場恐怖症は以前はパニック障害の結果起こるものであると考えられていました。しかし、必ずしも、パニック発作やパニック障害を呈さない患者様も多いことが報告され、広場恐怖症はパニック障害とは独立した不安症の一種のカテゴリーにDSM-Ⅴでは分類されたのです。

また、パニック障害は、あくまでも予期されない繰り返し起こすパニック発作が特徴ではありますが、広場恐怖症は必ずしもパニック発作の有無は必要はありませんが、もしパニック発作が出現したとしても発作のきっかけが明らかな「状況依存的パニック発作」の出現が特徴的です。また、広場恐怖症は必ずしもパニック発作が存在していないと診断できないというものでもありません。

どうして広場恐怖症は理解してもらいづらいのか

心配事が周りに理解してもらいづらいことも

広場恐怖症の特徴でもある、「逃げ出せない場所」や「不調が起きた時に助けてもらえない場所」にいることで不安や恐怖を感じてしまうと述べましたが、広場恐怖症の感じている心配事の例としては、「ここで倒れてしまったらどうしよう」、「ここでパニック発作が起きたらどうしよう」「ここでトイレに行きたくなったらどうしよう」「ここで吐いてしまったらどうしよう」といった心配事を抱えている人の場合も多いのです。

そのため自宅に引きこもりがちになってしまっている本人に対して、病状を理解していない人にとってはなかなかその心配事や不安事に理解が行き届かず、もしかしたら「気にしすぎ」「ただ行きたくないだけでしょ？」「何か理由をつければいいものではない」「つまらないウソ」といった強い批判をしてしまう人もいるかもしれません。

広場恐怖症の認知の低さと、その表現から重大性が伝わりにくい

そのような本人の重大な心配事が、なかなか周囲の人たちに分かってもらえないと同時に、「広場恐怖症」というのはまだまだ認知も理解もされていない疾患であると同時に、広場恐怖症という病名から感じられるイメージから重大性が伝わりにくいことも特徴であると感じます。

また、広場恐怖症はその他の不安症だけではなく、うつ病との合併も多い疾患ですので注意が必要です。

最後に

広場恐怖症は実は自宅への引きこもりの原因にもなりやすいと言われています。またその症状の特性からも自分で抱え込んで悩んでしまう事も多いです。

もし、広場恐怖症の症状に当てはまるかもとお思いの方は、お一人で悩まれず、心療内科や精神科・メンタルクリニックのひだまりこころクリニック金山院までご相談くださいませ

野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など