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2020.07.142024.04.01

【月経前不快気分障害】家族やパートナーへどう接すればよいか

家族やパートナーが月経前不快気分障害のときにどう接すればよいのでしょうか

月経前になるとイライラしたり、眠くなったりと、心身の不調を訴える女性は実は少なくないと言われています。月経前の心身の不調が特に重い月経前不快気分障害だと、性格が変わってしまったと思われるほどのイライラで苦しむ女性もいます。家族やパートナーがそんな状態だと心配になりますが、どう接したらよいか分からなくて困っている男性は少なくないと思います。

この記事では、月経前不快気分障害の家族やパートナーにどう接するのが望ましいかについてお話しします。

月経前不快気分障害について解説をしております

月経前不快気分障害はどのくらいきついか

約1ヶ月周期ぐらいで家族やパートナーの女性がイライラしていたり、あたりがキツく感じる、さらにはパートナーの女性の体調の変化が生じていると感じる男性は少なくないかもしれません。

9割の女性が月経周期に関連して身体・精神的な変化を感じています

実に9割の女性が月経のときはイライラしたり、眠くなったりなど、体や心の変化を経験すると言われています。

これは月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)と呼ばれるもののせいです。PMSは人によって程度に差はありますが、病気ではありません。

月経前不快気分障害の診断と治療はひだまりこころクリニック金山院へ

【うつ病の一種】月経前不快気分障害という精神面も身体面もつらい症状を呈してしまっていることもあるのです

しかし、女性の3~8%は月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder:PMDD)という精神疾患の診断が付くほど、月経前に非常にしんどい思いをします。DSM-5という精神疾患の診断マニュアルでは、PMDDはうつ病の1種として分類されているため、PMDDは、PMSがうつ病なみに非常に重くなったものをイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。

月経前不快気分障害・PMDDの症状の特徴とは

PMDDの症状の一例としては、以下があります。

非常に感情が不安定になる、イライラする、自己を批判する(時に死んでしまいたいと思
うこともあるほどです)

集中できない、疲れやすい

過食、特定の食べ物を欲する

とても眠い(人によっては逆に眠れない)

月経前の自分の変化をコントロールできない感じがする

身体症状(胸が張る、関節が痛い、体重が増えるなど)

月経周期に応じて身体的にも精神的にも不快な症状が繰り返し起こる

悲しいこともつらいこともないのに涙が止まらない、人にあたり散らさないと我慢できない状態、でもどうにもできないというきつい状態に月経周期に伴って出現してしまっているのが月経前不快気分障害なのです。

月経前不快気分障害でお困りの方は診断・治療も行うひだまりこころクリニック金山院へご相談ください

月経前にどんなことをしてもらえたら嬉しいと思うか

若い女性向け雑誌CanCamが20~40代の女性40人を対象に行った調査や、生理用品も扱っているエリエールのGOO.N MOM(グーン マム)というコミュニティに参加している260人の現役ママ・妊娠中のプレママを対象としたアンケートから、以下の行動が月経前や月経中にされると嬉しいということが分かりました。この結果は、PMDDの女性にも共通するものがあると考えられます。

①優しく接する

優しく接するといっても色々あります。もちろん料理を代わりに作ってくれるなどしてくれるのも嬉しいですが、できるだけ長時間の外出をさせないようにする、どうしても外出するときはトイレを配慮してくれるなど、さりげない心配が嬉しいようです。

また夫婦関係のパートナーの場合は、特に小さい子どものお世話をするのが非常にしんどいという意見が多く見られました。公園などに子どもを連れて行って一人きりになれる時間を作ってくれたり、子どもをお風呂に入れるなど、できることを積極的にして負担を減らしてほしいようです。

月経前不快気分障害の家族のサポートについて解説しています

②放っておく・そっと一人にしておく

月経のイライラから家族やパートナーにひどい言葉を言ってしまうこともあります。でも、これは本心から言っているのではなく、つらい症状がそうさせている面も大きいのです。自分でも言いたくて言っているわけではない点や、実は後で、本人としても深く考えるほど本気でなかった場合もあるので、スルーしてくれると喧嘩に発展しなくてすむのでありがたいという意見も見られました。

また、心配でつい声を掛けてしまう男性もいるかもしれません。しかし、月経のときは頭痛や腹痛、吐き気、眠気、イライラなど、色々な症状が出て返事をするのも大変です。そのため、黙っていてくれるのが一番助かるという人もいるようです。

③症状に配慮した行動

PMDDの症状のなかは日常生活に危険をもたらすものもあります。例えば、車の運転のときに集中できなかったら事故を起こす危険がありますし、イライラしながらの運転は荒々しいものになって危ないです。そういった場合は運転させないなど、症状に配慮した行動をしましょう。

精神科と心療内科へ月経前不快気分障害もご相談ください

まずは家族やパートナーとの話合いが大事

「優しくしてほしい一方で放っておいてほしいなんて、結局どうしたらいいんだ」と混乱していると思います。同じ女性でも月経のつらさはピンからキリまであるため、女性同士でも完全に理解することは難しいので、男性ならなおさらでしょう。ここでお話ししたことはあくまでも一般論です。そのため、どうすればよいかを直接家族やパートナーと話し合うことが大切です。

また、時には家族やパートナーを支えるのに疲れるときもあると思います。そういったときは距離を取ることが望ましいです。ただ、いきなり目の前からいなくなられると「自分がきつくあたりすぎたからだ」とパートナーは自分をひどく責めてしまいます。そのため、事前に「たまに離れることもあるけど、嫌いになったとかではなく喧嘩しないためだから心配しないでね」としっかり伝えると安心できると思います。

まとめ

月経前になるとしんどそうにしているパートナーを助けてあげたい、その気持ちが一番大切です。とはいえ、家族やパートナーがPMDDの場合、最初にお話ししたように精神疾患のひとつなので、配慮やケアで和らげられる苦しみには限界があります。あまりに家族やパートナーが月経前に苦しんでいるようなら、心療内科や婦人科などのクリニックへの受診を考えたほうがよいでしょう。

アンケート結果の参考サイト

Cancam.jp https://cancam.jp/archives/208448

エリエールElisクリニック https://www.elleair.jp/elis/elis_clinic/survey/

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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