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2018.10.272024.04.01
不安障害の薬物療法~状態によって使い分ける薬剤もある点に注意~
不安障害の薬物療法について
不安障害には全般性不安障害や社交不安障害、強迫性障害、パニック障害、PTSDなどがあります。不安を主症状とする点は共通していますが、疾患によっては使ってはいけないとされる薬もある点には注意しなければなりません。
この記事では不安障害の薬物療法の原則や、各疾患の第一選択薬などについて解説します。
不安障害の薬物療法の原則
不安障害の患者さんに薬物療法を行うにあたり、以下に留意する必要があります。
①原疾患の特定・治療
患者さんが不安で悩んでいるとしても、その原因が不安障害ではないこともあります。甲状腺中毒症などの身体疾患のために強い不安が生じていることや、カフェインなどの薬物が原因で不安が生じていることもあります。そのため、不安による苦痛や機能障害だけではなく、他にも身体疾患や精神疾患、これまで受けてきた治療などを元に、包括的に診断しなければなりません。もし不安障害以外の原疾患がある場合、それを治療します。
②心理療法の効果
薬物療法だけではなく、心理療法も不安障害を治療するうえで有効です。例えば、中等度以上の機能障害がある強迫性障害の場合、SSRIだけでは効果が不十分な場合は認知行動療法と併存することがNICEのガイドラインで推奨されています。本記事では精神療法については触れませんが、治療抵抗性を示す患者さんにはもちろん精神療法を併用することも大切です。
③低用量からのスタート
不安障害の患者さんの場合、薬の副作用が出やすいと言われています。薬物療法を進めるにあたり、低用量からのスタートが望ましいです。
不安障害でよく用いられるベンゾジアゼピン系薬剤とSSRI
不安障害の薬物療法では、ベンゾジアゼピン系薬剤とSSRIを用いることが多いです。
ベンゾジアゼピン系薬剤
ベンゾジアゼピン系薬剤を使えば、急性の不安症状を抑えることができます。そのため、不安や症状が大きく、機能障害が生じている不安障害の場合、多くのガイドラインでベンゾジアゼピン系薬剤を使うことが推奨されています。ただし、ベンゾジアゼピン系薬剤には依存性や離脱症状の可能性があるため、長くても4週間以内という短期間を目標とし、かつ最小有効用量の使用が好ましいです。ただしNICEによると、パニック障害の治療ではベンゾジアゼピン系薬剤は使用すべきではないとされていたり、他にも、PTSDでも処方する場合は慎重にすべきとされています。いずれにしてもベンゾジアゼピン系薬剤はやむを得ない症状の時の使用とし、漫然とした使用はするべきではないと考えられます。
SSRI
不安障害に対するSSRIの効果については多くのエビデンスがあり、SSRIは不安障害の治療で広く用いることができます。しかし、社交不安障害を除くと忍容性が不良であるため、低用量からのスタートとなります。
SSRIで治療を行うにあたり、副作用や離脱症状に注意しなければなりません。副作用としては、アカシジアや不安増強、希死念慮が起きやすいです。特に30歳未満の若い患者さんやうつ病と合併している患者さん、受診した時点で既に自殺リスクが高いと評価される患者さんの場合は、希死念慮のリスクが高まることがありますので注意が必要です。また、不安障害の患者さんでは中断症状のリスクも高いです。SSRIのお薬を減量するときには数週間~数か月間と、時間をかけて少しずつ減らしていかなければなりません。
疾患ごとの第一選択薬と注意点
不安障害や不安に関連した疾患はいくつかあります。ここでは疾患ごとに第一選択薬や注意点を説明していきます。
全般性不安障害
極期での管理ではベンゾジアゼピン系薬剤を使うこともあります。ただし、使用期間は長くても2~4週間以内を目指すべきとされています
第一選択薬として、SSRIやSNRI、他にプレガバリンがあります。初期は症状を憎悪させることや低用量からのスタートという点に注意が必要です。全般性不安障害の薬物療法は6週間以内には中程度の改善が認められ、時間が経つにつれて改善効果が高くなります。
社交不安障害
第一選択薬はSSRIやベンラファキシンMRです。SSRIの忍容性が比較的良好なため、用量調節の必要性がないこともありますが注意は必要です。通常は8週間以内に治療効果が現れます。
強迫性障害
第一選択薬はSSRIです。最初に処方したSSRIの忍容性や反応が不良の場合、別のSSRIかクロミプラミンが使われます。ただ強迫性障害の患者さんの多くは難治性です。それらの薬を使っても効果が不十分な場合は、抗精神病薬を追加することもあります。治療効果が出るまでに時間がかかり、10~12週間ほど要します。
パニック障害
極期での管理でベンゾジアゼピン系薬剤を投与するとすぐに症状が治まります。ただし、薬の服用を中止するとすぐに症状が再発します。そのため、NICEではパニック障害に対してベンゾジアゼピン系薬剤を推奨していません。
第一選択薬はSSRIやベンラファキシンMRです。SSRIが効果を示さない場合は、イミプラミンやクロミプラミンなどが使われます。ただし、SSRIは治療効果の発現に時間がかかることや、治療初期にパニック症状が増悪する点に注意が必要です。
PTSD
第一選択薬はSSRIやベンラファキシンMRです。SSRIのなかでもパロキセチンやセルトラリン、fluoxetineが望ましいとされています。多くの場合、8週間以内に治療効果が現れますが、12週間かかることもあります。
まとめ
不安を主症状とする不安障害ですが、疾患や状態によっては長期で使う事がふさわしくない薬があることや、不安障害のそれぞれに関して治療経過が少し異なる点には注意が必要です。疾患ごとに注意点をしっかり理解しておきましょう。
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