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2020.06.222024.04.01
“大人の発達障害(ADHD)とは?“【注意欠如編】
“大人の発達障害(ADHD)とは?“【注意欠如について症例を用いて紹介をいたしております】
注意欠如・多動症(ADHD)は、課題を成し遂げることができない、思いつきで突発的な行動をとる、3分としてじっとしていられない、などの特徴がある障害です。
どうして、「大人の」発達障害と呼ばれるのか?
多くの場合、幼児期や学童期に発症します。近年よく耳にする「大人の発達障害(ADHD)」も、こういった症状が大人になって出てくるというものではありません。子どもの頃から、コミュニケーションが苦手だったり、不注意、多動性、衝動性など様々な症状にずっと悩まされていながら、周りから分かりづらかったり、自分なりの工夫や対策を考えて努力したりして、発達障害の診断が子どもの頃にはつかなかったケースがあります。
また、子どもの頃には「発達障害」や「ADHD」という診断があまり知られていなかったという可能性もあります。
「大人の発達障害」はうつ病・パニック障害などの不調の合併も多い
大人の発達障害の方たちは、そのような症状への対症法を見つけるまでに時間がかかったり、大人になるにつれて新しい環境への早急な対応や、結果として人間関係への影響が増えてきてしまい、特に不注意や多動性、コミュニケーションの苦手さがますます目立つようになったりしてしまいます。また、うつ病や不安障害・パニック障害の症状で心療内科やメンタルクリニック・精神科を受診して、大人の発達障害の合併も診断されることがあるのです。
発達障害(ADHD)には、(不注意優位型)と(多動性/衝動性優位型)と(混合型)があります。
【不注意優位型の症状の例とは】AさんとBさんのケースを見てみましょう
Aさん(22歳 事務職、女性)のケース
Aさんは大学を卒業後、ある会社の経理部に新入社員として採用されました。
もともと数字は得意ではありませんでしたが、簡単な計算間違いや、数字を打ち込む行を一段飛ばしてしまうなどのミスが多く、先輩によく指摘されます。一度指摘された間違いも、二重チェックをするなど、注意をしているつもりでも、また同じミスを繰り返してしまいます。
「今度は間違いがないようにしなくちゃ!」
慎重にパソコンに向かうAさんですが、数分もたたないうちに、他の仕事のことを次々と思い出してしまいます。
「あ、来週の懇親会の幹事を任されていたんだった!」
Aさんは、インターネットで懇親会の開催場所を調べ始めましたが、気がつけばもう2時間。「経理簿が出来てない!」急いで残りの作業を済ませ、先輩社員にみせると、また間違いを指摘されました。
「学生の頃は、こんなに怒られたことなかったのに・・・。」
Bさん(27歳 営業マン、男性)のケース
商社に勤めて4年目のBさんは、人事異動で事務から営業マンに代わりました。
今日は重要な取引先との商談の日。つい時間に遅れがちなBさんですが、
この日は余裕を持って取引先に着き、カバンの中を確認しますが・・・
「しまった!」 商談に必要な書類を持ってくるのを忘れたことに気づきました。
書類を取りに、急いで会社に引き返しましたが、出先が多いBさんの机の上は取引先の名刺や書類の山。締め切りを過ぎた見積書も出てきました。
何とか書類を探し出しましたが、「もう間に合わない!」
Bさんは先方に、15分ほど遅れるとの電話を入れました。
【不注意優位型の症状の特徴とは】
AさんやBさんのようなタイプはADHD(不注意優勢型)と呼ばれ、次のような症状の特徴があります。
①ケアレスミスが多い
②気が散りやすく、仕事や作業に集中することが苦手
③やりたいことや好きなことに対して積極的に取り組めるが、集中しすぎてしまう
④ものをどこかに置き忘れたり,失くしたりすることがある
⑤片づけや整理整頓が苦手
⑥約束や時間をまもれないことがある
⑦頭の中やスケジュール・タスクを整理できない、順序立てて行えない
⑧締め切りをなかなか守ることができない
これらはADHDでない方でも起こりうるものですが、ADHDではこれらのミスが年齢に対して不相応に生じ、日常生活・社会生活に支障をきたします。
なぜ、子どもの頃からある症状なのに診断されないのでしょうか?
【理由①】不注意優勢型は子どもの頃は問題視されにくい
1つめの理由は、子どもの頃は特に目立たないことがあげられます。ADHDの傾向は子どもの頃から持っています。しかし、幼少時から不注意優勢型のADHDである場合は、多動・衝動型のADHDより学校生活で問題視されにくく、学業や学校生活に支障がなければ「少しうっかりしているけれど普通の子」として見過ごされてしまうことが多いのです。
なかには保護者や先生、友人など周囲のサポートにより不注意症状がカバーされ、症状がみえにくくなっていることもあります。
【理由②】不注意優勢型は子どもの頃は、大人になって困り感が生じやすい
2つめの理由は、自身が困る状況が大人になって初めて出てくることが上げられます。Aさんのように、社会人として仕事を始めたり、Bさんのように業種がかわったり、結婚や出産などの、新しい環境に身を置いて、初めて症状が見えやすくなることがあります。社会に出ると自身でスケジュールやタスクを把握し、ミスなく確実に遂行する能力が求められます。
そこでADHDの不注意症状が顕在化して「自分はADHDかもしれない」と受診するパターンが多いと考えられます。
大人の発達障害(ADHD)を疑ったら?
大人の発達障害(ADHD)を疑ったら、クリニックや病院にて検査を併用して行ったり、医師の診断を受けることが出来ます。当院では、ADHDの検査としてWAISやWISCといった詳細な心理検査をもとに,ADHDの診断や傾向の確認を行っております。「チェック項目などの簡易検査は行ったけど,しっかりと発達障害やADHDの診断をしたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
治療という意味だけでなく、まずはご自分の特性を知ってみるということも大切です。
ひだまりこころクリニック金山院は名古屋市金山の心療内科・精神科・メンタルクリニックです
また、“大人の発達障害(ADHD)とは?“【多動・衝動編】も記載をいたしておりますのでご覧ください
引用・参考文献
American Psychiatric Association: Diagnostic and statistical manual of mental disorders, 5th ed., Washington, DC, 2013 (高橋三郎,大野 裕監訳,染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,三村 將,村井俊哉訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.東京,医学書院,2014).
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