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クリニックブログ

2020.08.252024.04.01

生理前のイライラや頭痛【PMS(月経前症候群)】診断・治療編

PMS(月経前症候群)とは?

多くの女性が感じる、生理前の身体の不調・こころの不調といった変化は、月経前症候群(PMS:Premenstrual Syndrome)と呼ばれます。詳しくは、黄体期(排卵後から月経までの基礎体温でいう高温相)に起こる身体的、精神的、社会的症状のことを言います。症状と原因については、こちらのページをご覧ください。

月経前症候群・PMSについて心療内科が解説を行っております

PMS(月経前症候群)の診断方法とは?

PMSだけに当てはまる症状はなく、また検査等で分かるものではないため、PMSを診断する方法は、現時点では開発されていません。そのため、生理周期に応じ、特定の症状があらわれることを確認して、医師がPSMと判断することがほとんどです。

生理周期と症状の傾向を確認するためには、PMSの兆候や症状の変化をカレンダーや手帳などに記録しておくと便利です。PMSの症状に気づいた初めの日、症状が消えた日を記録するとよいでしょう。また、生理の開始日、終了日も同時に記録しておきましょう。

PMSとよく似た症状もよくあるので、注意が必要です。例えば、慢性疲労症候群、甲状腺障害、気分障害による憂うつ感や不安感があります。これらの病気と区別するための検査を病院にて行う場合もあります。

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PMS(月経前症候群)の治療方法とは?

多くの場合、生活スタイルを変えることでPMS症状は和らげることができます。しかし、症状の重さによっては投薬治療が必要な場合もあります。

投薬治療のPMS症状への効果は個人差がありますが、よく用いられるお薬を見ていきましょう。

1.症状に合わせた対症療法薬

頭痛や腰痛には鎮痛剤、不安感やイライラに抗不安薬、手足や顔のむくみに利尿剤など、症状が出たときに各症状に対応するお薬です。市販の頭痛薬、鎮痛剤はこれに含まれます。

2.低用量ピル

排卵を抑制することで月経周期に伴うホルモン変動を緩やかにし、症状を軽くする効果が期待されます。低用量ピルの処方は、産婦人科への受診をお勧めします。

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3.漢方薬

複数の生薬(しょうやく)の配合で、こころとからだの両方に働きかけるのが特徴です。体全体のバランスを整えるための薬で、同じ症状でもその人の体質によって薬を選びます。また、症状や体質の変化にあわせて配合を変えていくことができます。

4.抗うつ薬(SSRI、選択性セロトニン再取り込み阻害薬など)

抗うつ剤は、気分の浮き沈みなどに効果があります。重度のPMS症状や、深刻なPMDD(月経前不快気分障害)に効果のある薬として最初に使用されることが多くあります。

通常、これらの薬は毎日服用しますが、場合によって、生理の2週間前から服用することもあります。

 

さて、ここからは自宅でもできるPMSへの対処法をみていきましょう。

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自分でできるPMS(月経前症候群)の予防・対処方法とは?

PMSの症状は、食事、運動、また日々の生活を見直すことによって軽減、コントロールできることもあります。

食生活をかえてみる

  • 少量の食事を、回数を分けて食べると、むくみを和らげることができます。
  • 塩気の強い食べ物を減らすと、血や水分の巡りの滞りを防ぐことができます。
  • お米、果物、野菜などの複合糖質を多く含む食べ物を摂りましょう。
  • カルシウムを豊富に含んだ食べ物を選びましょう。乳製品アレルギーや、カルシウムを十分にとれない場合は、サプリメントで代用することもおすすめです。
  • カフェインやアルコール類は避けましょう。

日々の生活に運動を取り入れてみる

  • 毎日のルーティーンに少しの運動を加えてみましょう。

30分以上のウォーキング、サイクリング、水泳、その他の有酸素運動をほぼ毎日、取り入れてみましょう。規則的な運動は、こころとからだの健康だけでなく、疲労感や憂うつ感などからくる症状の予防にもなります。

ストレスを減らす工夫をしてみる

  • 十分な睡眠をとりましょう。
  • 筋弛緩法や、深呼吸をしてみましょう。筋弛緩法は、からだに力を入れてから弛める方法です。頭痛、不安や不眠の改善に効果があります。
  • ヨガやマッサージなどでリラックスする時間を作り、ストレスをゆるめましょう。

PMS症状を数カ月、記録してみる

症状が現れるタイミングやきっかけを知るために、PMS症状の記録をとりましょう。記録をすることで、症状を軽減するための方法やアイディアがみつかることもあります。

そのほかの補助的な治療

そのほか、補助的な治療法として、PMSの症状を和らげるのに効果があるとされるものを紹介します。

  • サプリメントのビタミン剤・・・カルシウム、マグネシウム、ビタミンEやビタミンB-6は、PMS症状を緩和するといわれていますが、確固たる根拠は証明されていません。
  • はり治療・・・はり治療では、ステンレスの針を体中にあるツボに刺激します。はり治療でPMS症状が和らいだという報告もあります。

月経前不快気分障害・月経前症候群・PMSの症状と治療に関して

まよったら、医師に相談してみましょう!

日本において「PMS(月経前症候群)」という言葉が世間に知られ始めたことが、わりと最近であることからも、「生理前、生理中の症状はガマンするもの!」「みんな乗り越えているもの!」と教えられた方や、そう考えておられる方も、よくいらっしゃいます。

しかし、PMSをガマンすることにより普段の生活ができなかったり、家事や仕事に支障がでてしまったりすると、それ自体が大きなストレスになってしまいます。規則正しい生活、食事、睡眠などの生活スタイルを整えてみても、PMSが改善しなければ、医師による治療が必要だと言えるでしょう。

当院では、PMSの患者様に対し、その症状や目的に合わせた治療をご提案させて頂いております。

一人で悩まず、少しでもお悩みのことがございましたら、ぜひ、当院までご相談ください。

生理前のイライラや頭痛「PMS(月経前症候群)とは?」症状・原因編

参考文献

日本産科婦人科学会編.産科婦人科用語集・用語解説集.改訂第3版.東京: 日本産科婦人科学会事務局; 2013.

Mayo Clinic HP, Premenstrual Syndrome. (accessed 2020 Jul 9)

https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/premenstrual-syndrome/symptoms-causes/syc-20376780

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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