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2020.09.182024.04.01

うつ病の治療の基本~薬物療法もあるが、通院を継続することがもっと大事~

「うつ病の薬を飲んだら、止められなくなるんでは…」「病院に行ったら薬漬けにされるんでは…」と考えて、心が辛く、しんどい思いをしていても心療内科の病院やクリニックを受診しない人は少なくないと思います。

確かに、うつ病の治療の中心は薬物療法でもあります。しかし、薬物療法で使われる薬には麻薬のような強い依存性はありません。また心療内科や精神科・メンタルクリニックでは、薬物療法では患者さんのお話や体調を見ながら、症状を良くするための薬の効果を狙って調整するため、「薬漬け」にされることもありません。この記事では、うつ病の薬物治療の基本についてお話します。

うつ病だからといって、すぐに薬が出されるわけではない

うつ病の治療の中心は薬物療法です。とはいえ、風邪を引いたら薬をもらうのとは違って、簡単に薬を出されるわけではありません。発症後すぐのうつ病や軽いうつ病の場合は、薬物療法よりも、まずは日常生活の見直し、認知行動療法と呼ばれる心理療法、運動などが行われます。「そんなことで何とかなるの?」と思われる人もいるでしょう。

しかし、気分が落ち込んでいる人というのは生活がないがしろになっていることが多いものです。そして、そのことで体のエネルギー、引いては心のエネルギーの充電ができなくなっていることは往々にあります。そのため、本当に軽いうつ病の場合は以下のことに気を付けるだけで症状が改善することがあります。

・バランスの取れた食事

・運動や散歩などをして体を疲れさせる

・しっかり寝る

・趣味に没頭する

※症状が軽いというのは、あくまでも専門家の医師だから判断できることです。自分で判断して行動すると、かえって症状を悪化させてしまう恐れがあります。診察を受けてから、どう行動すべきか考えることがまずは大切です。

”生活を整える”、簡単に聞こえるかもしれませんが、生活に変化を加えることは実はとてもエネルギーが要る行為でもあります。抑うつ症状のためにその取り組みができないくらいの体調の方は以下にご紹介する薬物療法の併用が望ましいと考えられます。

うつ病の症状や治療なら名古屋市金山の心療内科・精神科・メンタルクリニックへ

薬物療法の基本

中等度や重度のうつ病や、気分変調症(うつ病というほど重くはないけど気分が落ち込んだ状態が2年間続く病気)の場合、抗うつ薬と呼ばれる薬を使う薬物療法が行われます。

特に、前記載の様な生活の見直しや取り組みは、うつ病症状や抑うつ症状が強くなってくるとそもそも取り組めないくらいの精神状態になってしまう事も多く、薬物療法の併用が有効です。

【薬物依存とは違う】心療内科の薬には麻薬のような強い依存性はない

内科と違って心療内科の薬と聞くと、どこか心配な思いがする人もいるかもしれません。その心配は当然のものだと思います。1997年にイギリスで1,946名を対象に行われた調査によると、実に74%もの人が抗うつ薬には麻薬のような常習性があると考えていたことが分かりました。しかし、この考えは誤ったものです。心療内科の薬には麻薬と違って常習性や強い依存性はありません。安心してください。

一方的に薬を出されるのではなく、話し合いがしっかり行われる

薬物療法では薬が症状を治すメインとはいえ、薬だけに頼りきりというわけではありません。薬が処方される前も、1回1回の診察でも、しっかりと患者さんと医師の間で診察が行われます。その理由のひとつとして、他の科の病気と違って心療内科では血液や尿などからは症状の重さや変化が分からないからです。患者さんから聴く話や医師による診察が症状の把握にとても大切です。

・薬物療法を行うかどうか、他にはどんな治療方法があるか

・薬物療法でどんな薬を使うか、薬の効果や副作用など

・治療の見通し(何週間ぐらいで症状が落ち着いてくるか、症状が落ち着いてもどのくらい薬を続けないとうつ病が再発するなど)

・抗うつ薬を減らすときは徐々に行うことや、自分で勝手に薬を減らしてはいけないこと

・薬を止めるときに一時的に出るかもしれない症状

場面に応じて、一つのことを判断したり、複数の事を相談したり、まずは体調や状況に応じた相談が大切なのです。

薬物療法の流れ

薬物療法の効果が出るまで1カ月弱かかると何となく思っている人が多いかもしれませんが、実際には早ければ1、2週間ほどで効果が出る方もみえます。遅くとも、薬を飲み始めてから3週目には何かしらの効果が出るはずです。薬の効果がしっかり出ていて、副作用もほとんどなければ、そのまま6~9カ月ぐらいしっかり薬を飲み続けていきます。ただ、薬を飲み続ける期間は症状の重さによって変わります。特にこれまでうつ病を繰り返してきた場合などは、もう少し長い間薬を飲んだほうがよいこともあります。

もし効果が出なければ薬を増やしたり、副作用がきつかったら他の抗うつ薬に切り替えたりされます。ただ精神面の症状のつらさは血液や尿などから測定することはできません。患者さんと医師の間で行われる話し合いによって、薬を増やしたり、薬を切り替えるというのが決まります。

症状の変化が影響しているのか、お薬の効果が出ていないのか等、様々な因子が絡んでいることも多いために、時には時間をかけながら判断を積み重ねていく事もあります。

まとめ

心療内科の薬に対して怖いイメージを持たれている方が多いため、非常にしんどい思いをしていても病院やクリニックを受診しない方は少なくありません。

しかし一番怖いのは、治療を受けずに症状が放置されることです。うつ病は「心の風邪」と言われますが、これは「誰でもかかる恐れがある」ということを意味しているのであり、「症状が軽い」ということではありません。ずっと症状が放置されることで、最悪自殺につながる恐れもあります。また、症状が悪化して逆に投薬期間が延びてしまう事もありますし、治療経過が不十分であると再発のリスクが上がるとされているため、うつ病とは大変難しい疾患だと思います。しんどい思いがする、眠れない、食欲がないなどの症状が2週間以上続く場合は、早めに病院やクリニックに相談することをおすすめします。

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