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2019.07.162022.05.23

適応障害のエピソードについて

適応障害についてお話ししたいと思います

突然ですが、適応障害という名前を聞いたことがありますか?

適応障害とは、簡単に言うとストレスが原因で引き起こされるこころの反応の一つです。進学に転校、そして就職、転職、結婚。人によって人生の分岐点は様々ですが、誰しもが新しい環境に飛び込んで行く瞬間があります。そこには必ずといっていい程環境の変化が付き物です。その変化を乗り越え、新しい環境に適応し順応していくものですが、なかには新しい環境に馴染むことができず適応できない場合があります。

そうした環境の変化が大きなストレスとなり、学業・仕事・家庭内の生活に支障をきたしてしまう状態のことを適応障害といいます。ICD-10(世界保健機構の診断ガイドライン)では、「ストレス因により引き起こされる精神面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義されています。

【ご参考ください】適応障害のエピソード例について記載を致しました

適応障害のエピソード例を分かりやすくまとめさせていただきました。卒業後看護師として総合病院に就職をしていた方、時々体調を崩し、仕事を休むことはありましたが、任される仕事が増え、気が付けば病棟の中でも中堅と呼ばれる立ち位置になっていました。着実に積み上げたスキルは大きく、自身仕事に対するプライドや自信の元になりつつ、これからもここで働いていくのだと思っていました。しかし、あることがきっかけで長年働いていた場所に行くことができなくなってしまいました。

最初の症状は不眠でした。朝が来ると仕事に行かないといけない、そう思うと不安で押しつぶされそうになりました。そして仕事に行くことが怖くなり、化粧をしながら泣いていました。病棟についても気分が晴れることなく、人の視線が怖くなり笑うことが出来ませんでした。お腹は空きますが、いざ食事を取ろうとすると味を感じることができず、食べることができなくなりました。休みの日は疲れが酷く起き上がることも出来ませんでした。そしてとうとう、一睡もすることができず夜勤に出勤する程の不眠に陥りました。最初の症状が出てから、約1ヶ月後の出来事でした。

そして周りから病院に受診するよう強く言われ、心療内科の門を叩きました。医師から告げられたことは「今すぐ仕事を休むように」の言葉でした。ここで初めて、適応障害という言葉を知るとともに、こうなってしまった原因は3か月前にあった部署異動がきっかけであることも分かりました。慣れ親しんだ場所から、異動することで否応なく新しい環境になじまなくてはいけなくなった時、その環境にうまく適応することができなかったのです。

こちらエピソードは、あくまでも例でご紹介をさせて頂きましたが、発症前の状況や本人の性格の傾向は、親しみやすく、コツコツと取り組むことをいとわない頑張り屋さんで、決して心の弱さといったネガティブな表現ではない方だったのです。適応障害とは、誰しも突然起きうる疾患であるという事はお判りいただけるのではないかと思っています。

では、ここからは適応障害の診断・症状・治療法についてご説明していきます。

適応障害の診断について

アメリカ精神医学会の精神障害診断マニュアルDSM-Ⅲ-Rによると、

  • 1. はっきりとした心理社会的ストレスに対する反応で、3ヶ月以内に発症する
  • 2. ストレスに対する正常で予測されるものよりも過剰な症状
  • 3. 社会的または職業(学業)上の機能の障害
  • 4. 不適応反応は、ストレスが解消されれば6ヶ月以上は持続しない
  • 5. 他の原因となる精神障害がないことが前提条件

とされています1)。ここで大切になってくるのは、先に統合失調症やうつ病などの気分障害や不安障害などがある場合は、そちらの診断が優先となります。また、災害や犯罪といった非日常な出来事を体験した後に精神症状が現れた際は、急性ストレス反応であり適応障害とは別となります。    

続いて、適応障害の症状とはどんなものがあるのでしょうか。

適応障害の症状は大きく分けて、精神症状・身体症状・社会問題行動の三つに分類されます。

  • 精神症状:憂鬱な気分になる(気分が落ち込む)・不安感が強くなる・感情のコントロールができず、涙もろくなる・判断力が低下し、混乱することがある・意欲が低下する
  • 身体症状:不眠・朝が起きることができない・頭痛・食欲不振・動悸がする・身体の疲れが取れない(易疲労感)
  • 社会問題行動:遅刻や欠勤・人に暴言を言う・粗暴行為・普段の性格と違い、攻撃的な態度をとる・危険運転・人と会うのを避ける

以上のようなことがあげられますが、勿論これ以外の症状がでる場合もあります。

適応障害の症状と治療について

適応障害とうつ病との違いとは

適応障害の症状はうつ病と似通っており、うつ病の違いとはなんだろうかというふと疑問が出てくる方もいるかもしれません。ここで鑑別のポイントとなるのは、ストレスの有無です。

適応障害は、ストレスが誘引で症状が出現しています

誘引(ストレス)を取り除くことで徐々に症状は軽減していくと言われています。一方で、うつ病は環境といったストレスが原因とならずに悲しさが強くなり、今まで楽しめていたことに興味がなくなり、様々なことに対して憂鬱に感じ、その期間も長期化することがほとんどです。つまり、仕事上の問題で症状が引き起こされている場合、適応障害では仕事の日は精神症状・身体症状が出現しても休みの日は症状が軽快し、休みの日を満喫することができることもあります。しかし、うつ病の場合は、休みの日になっても気分が晴れることなく、趣味や好きなことに興味をもつことが難しくなります。これが、適応障害とうつ病の違いです。ただ、適応障害が遷延することで、うつ病に移行することがあります。私は、適応障害の症状が遷延化したことでうつ病を併発し、現在も内服治療を継続しています。

なので、適応障害だから大丈夫、うつ病じゃないからとかではなく、適応障害でもうつ病でも早期の介入と治療が大切なのです。

適応障害の治療法はどんなものがあるのでしょうか

上記に記載をしました、エピソードに関連して治療方法を記載させていただきます。不眠症状も併発していたために治療は、まず休職と睡眠の確保を行いました。このお話の中でも何度もストレスという言葉が出てきたと思います。そう、適応障害の治療でとても大切なことは、ストレスを取り除くということです。「え、そんなこと?」と思われる方もたくさんいると思いますが、ストレスを取り除くということは思っているよりも骨が折れます。まず、仕事を休むという事実そのものが、大きなストレスの方も多いのも分かります。最初は「周りに迷惑をかけてしまう」「ストレスが原因で仕事を休むなんて」といった自責の念が強くありました。しかし休息を確保してゆくと徐々の心と体のエネルギーも少しづつ整うとともに、『ストレスの除去』これが一番重要であり、治療の基本でもあるという事に後で気づくことも多いのです。

心を落ち着かせて、ゆっくりする。天気のいい日に、家の周りを散歩する。好きな本を読んだり、音楽を聴いたりする。このことをするだけで、症状が軽減することもあります。しかし、なかなかそれだけでは簡単にいくものではないため、薬物療法やカウンセリングが並行して行われることが多いです。

精神療法では、認知行動療法などを併用しながら、ストレスに対する対処法を身に付けたりする取り組みを行います。ストレスに対して自分自身がどのように向き合っているのかを知り、アプローチしていきます。そうすることで、現在抱えている問題を把握し、解決法を見出すことでストレスへの適応力を高めます。

次に、薬物療法です。薬物療法は、適応障害の場合は、補助的な役割を占めていることが多く眠れないのであれば睡眠導入剤、不安が強ければ抗不安薬といった対処療法も併用しますが、中心としてはうつ病などの治療で用いられる抗うつ薬といったSSRIなどのお薬を用いることが多いです。

そして、本人だけでなく、周りのサポートも大切になってきます。適応障害は自分自身の問題だけでなく、ストレスとなってしまった環境にも問題があります。そのため、その環境から遠ざかるためにも家族・友人・職場の人間がゆっくりと本人が療養できるように環境を整え、精神的なサポートをしていくことが回復への近道です。

最後に

現代社会において、ストレスはどこにでもあるものであり、多かれ少なかれストレスに晒されて生活をしています。自分はこころの病にはかからない、なんていう約束はどこにもありません。そして、かかった人の心が弱い、怠けている、なんていうこともありません。夜が眠れない、ご飯が美味しくないと思ったときは、一度医療機関へ受診してください。そして、周りにしんどそうにしている人がいると気がついたら、お話を聞いてみてください。周りのサポート一つで、変わることがたくさんあると思います。

引用文献

  • 1) 狩野力八郎・市川宏伸 『現代精神医学辞典』(2016) 弘文堂 「適応障害」佐治守夫
  • 参考文献
  • 1) 上島国利 『やさしくわかる精神医学』(2017) ナツメ社 P78-P79
  • 2) 西井重超 『精神疾患にかかわる人が最初に読む本』(2018) 照林社 P109
  • 3)厚生労働省ホームページ 『知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス』よりhttps://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_adjustment.html (2020.09.16確認)

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