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クリニックブログ

2019.04.19

うつ病で治療中の妊娠、注意したほうがよいことは?

うつ病でも妊娠して子どもを産んで大丈夫!とはいえ、注意したほうがよいこともある

うつ病の薬を飲んでいる女性(あるいはそのパートナー)にとって、妊娠・出産は気になるところだと思います。自分自身のために、パートナーのために子どもを産みたいとは思うけど、抗うつ薬を飲んでいるせいで子どもに障害が出てしまったら…と心配になる気持ちはよく分かります。しかし抗うつ薬を飲んでいても、子どもを望んで大丈夫とされています。

この記事では抗うつ薬による薬物療法中の妊娠・出産や、注意したほうがよいことについてお話します。

抗うつ薬を飲んでいても、妊娠・出産できる

まず結論からお話ししますと、抗うつ薬を飲んでいても妊娠・出産しても大丈夫です。とはいえ、一部の抗うつ薬には心奇形の確率をわずかとはいえ高めることが報告されています。そのため、できれば計画的に妊娠するか、うつ病の薬物療法を受ける時点で主治医に妊娠する可能性があることを伝えてそれらの抗うつ薬をあらかじめ避けておくと安心です。

妊娠中の抗うつ薬の服用には医学的エビデンス(根拠)がある

妊娠中も抗うつ薬を飲むべきかどうかは、薬をやめることで生じるメリットとデメリットを比較して決めます。とはいえ、妊娠中はマタニティブルーで情緒不安定になる女性は少なくありません。特にうつ病になったことのある女性が抗うつ薬を飲むことをやめると、68%が再発したという研究結果もあります。そのため、特にうつ病の再発のリスクが高い場合では、妊娠中も産後も同じ抗うつ薬を使ったほうがよいことがうつ病の薬物療法ガイドラインで定められています。

抗うつ薬を飲んでいる自分を責めてはいけない

赤ちゃんにとっては薬を飲まないに越したことはないと思い、「抗うつ薬なしではダメな自分なんて」と自己批判してしまうこともあるかもしれません。しかし、現在一番多く使われているSSRIという種類の抗うつ薬は深刻な奇形を生じさせることはないと考えられており、多くの研究によって安全性が示されています。また、そもそも妊娠自体が100%問題ないという保障ができないものです。万が一抗うつ薬を飲んでいる女性が妊娠・出産して子どもに障害が生じたとして、それが薬によるものなのか、そうではないのかは実は誰にも分からないのです。自然な妊娠であってもリスクを伴うのが妊娠・出産というものです。

また、母親のメンタルは赤ちゃんの健康・成長や、出産が上手くいくかなどにかかわってきます。うつ病の治療をしないことによる問題は、うつ病の症状で食生活などが疎かになって自分や赤ちゃんにきちんと栄養を届けることができなくなるだけではありません。最悪の場合、出産後の育児放棄、殺害まで結びつく危険性があります。そのため、抗うつ薬を飲むことは、赤ちゃんを守ることにもつながるのです。

妊娠中のうつ病治療について心療内科が解説をしています

うつ病の薬物療法を行いながらの妊娠・出産で注意・意識したいこと

うつ病の薬物療法を行いながらの妊娠・出産で注意・意識したいこととして、以下の3つがあります。

①分娩後の出血

抗うつ薬でよく使われているSSRIは副作用があまりなく、妊娠中の使用についてもほとんどのデータが安全性を示しています。ただSSRIの稀な副作用のひとつに、出血が止まりにくいというものがあります。分娩で出血しますが、抗うつ薬を使っている人のほうが血の量が多くなるのです。ただ、ある研究で報告された出血量は484mLでしたので、出血量は多いわけではありません。とはいえ、出産は命がけのものです。念のため、産婦人科医にも相談しておくと、安心して出産に臨めるでしょう。

②体重コントロール

抗うつ薬を飲んでいるとうつ病の症状が回復するため、食欲が出てきます。普段の状態ならある程度太ってしまっても問題ありませんが、妊娠中の体重の増え方はコントロールしておいたほうがよいです。あまり体重が増えすぎると、高血圧や妊娠糖尿病、むくみ、腰痛といった問題や、赤ちゃんにきちんと栄養が届かなくなる、早産といったリスクとつながるからです。ダイエットとまではいかなくてよいですが、毎日体重を測るなど体重コントロールへの意識は強く持っておきましょう。

③抗うつ薬の影響ではなく、うつ病の症状のほうが赤ちゃんには問題となることも

抗うつ薬と自然流産や出生時の体重の軽さ、神経発達の経過との関連を報告している研究もあります。しかしそれらの研究では抗うつ薬の影響と同等かそれ以上にうつ病の影響の可能性もあると考えています。そのため、うつ病が赤ちゃんに及ぼす悪い影響を防いでくれるものとして抗うつ薬を考えると、少しは気が楽になれるかもしれません。

最後に

抗うつ薬を飲んでいても妊娠・出産しても大丈夫とされています。妊娠期間中に抗うつ薬を継続するかどうかは、抗うつ薬のメリットとデメリットを医師と相談しながら決めることになると思います。とはいえ、自分のことだけではなく赤ちゃんのことも関わってくる妊娠です。

頭では大丈夫だと理解していても、心では納得できない部分もある話だと思います。本当に納得した上で抗うつ薬を飲まないと、どこかモヤモヤしたストレスが絶えず頭から離れないでしょう。妊娠中に抗うつ薬を飲むことについての心配を医師に伝え、しっかり解消することが大事です。

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