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2019.10.312024.11.16

インフルエンザワクチンについて

インフルエンザは毎年流行する感染症です

インフルエンザは飛沫感染で 鼻・のどから侵入して増殖します

インフルエンザウイルスの感染を受けてから1~3日間ほどの潜伏期間の後に、発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然現われ、咳、鼻汁などの上気道炎症状がこれに続き、約1週間の経過で軽快するのが典型的です。

死亡数は年間1万人程度:後遺症で脳炎あり、毎年50~200人のインフルエンザ脳症患者が報告されており、その約10~30%が死亡しているとされております

インフルエンザの予防方法としては、ワクチン接種があります

インフルエンザウイルスとは

インフルエンザウイルスの表面には、スパイクタンパクという糖タンパク質が突き出ています。

A型インフルエンザウイルスには、ヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)の二種類のスパイクタンパクがあり、ウイルスが感染を起こすための大切な役割を果たしています。HAは感染しようとする細胞に結合し、ウイルスを細胞の中に取り込む役割をします。NAは、感染した細胞とHAの結合を切って、複製されたウイルスを細胞から放出させる役割を持ちます。

そもそも、インフルエンザウイルスはRNAウイルスであるために、ウイルス遺伝子に起こる突然変異の蓄積によって、HAとNAの抗原性は少しずつ変化する連続抗原変異が頻繁に起こるので、毎年のように流行を繰り返すのです。

A型インフルエンザウイルスについて

A型インフルエンザウイルスのHAには16種類(H1~H16)、NAには9種類(N1~N9)の型があり、この組み合わせによりA型インフルエンザウイルスにはH1N1~H16N9の144種類の”亜型”が存在し、とても沢山のウイルスの型があります。

B型インフルエンザウイルスについて

B型インフルエンザウイルスにもHAとNAがありますが、各1種類ずつしかありません。

C型インフルエンザウイルスについて

C型インフルエンザウイルスにはヘマグルチニンエステラーゼ(HE)しか存在しないため、多様性はありません。 通常、ヒトに流行を起こすインフルエンザウイルスはA型とB型で、C型は軽い鼻水程度の症状のみです。

インフルエンザはどうして毎年流行してしまうの?

つまりは、インフルエンザが毎年流行するのは、このHA NA2つの組み合わせが変化するだけではなく感染や増殖の過程で抗原性も少しづつ変化するからです。結果としてインフルエンザには毎年かかってしまう可能性が出てしまう訳です。

そのためインフルエンザワクチンも毎年変わるのです。

インフルエンザのワクチンについて

発熱物質となる脂質成分を処理して除き、赤血球凝集素(HA)を含む画分を回収して主成分とした、不活化HAワクチンです。

ワクチンの効果について

3~4か月の効果があります。しかし5か月を超えると抗体価は半分になるといわれています

ワクチンの製造方法について

インフルエンザのワクチンとは、インフルエンザのウイルス株を鶏の卵で増殖させます。現在日本国で用いられているインフルエンザワクチンは、ウイルス粒子をエーテルで処理して発熱物質などとなる脂質成分を除き、免疫に必要な粒子表面の赤血球凝集素(HA)を含む画分を密度勾配遠沈法により回収して主成分とした、不活化HAワクチンです。

インフルエンザワクチンとはどのように選定をしているのでしょうか?

従来のワクチンは3種類のインフルエンザをターゲットとした混合ワクチンでした。2015年からは4種類の混合ワクチンに変更しております。

A型を2種類、B型を2種類の計4種の混合ワクチンです

毎年春に出る世界WHOからの報告発表をもとに、夏ごろ日本はターゲットを絞ってワクチンの製造に従事しているのです。

おおよそ春ごろには北半球のインフルエンザワクチンの推奨株を記載したWHOのレポートが提出されます。このレポートは、同じ年の南半球での流行株の情報をもとに、記載されており、そのレポートを元に日本はインフルエンザワクチン株を選定するのです。

今年のインフルエンザ混合ワクチンの株とは?

国立感染症研究所ホームページより

2019/2020冬シーズン

A/Brisbane(ブリスベン)/02/2018(IVR-190)(H1N1)pdm09

A/Kansas(カンザス)/14/2017(X-327)(H3N2)

B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)

B/Maryland(メリーランド)/15/2016(NYMC BX-69A)(ビクトリア系統)

と発表をされております。

4種類ともほとんどWHOの推奨株と同じあるいは類似株を用いています。

地名はウイルスが採取された土地名、年号は採取された年です。

インフルエンザワクチンは時には効果を外してしまう事があります

ワクチンを打ったのに、ひどくインフルエンザにかかってしまったことはありませんか?年によってワクチンはあんまり効かないとニュースで伝えられたりするのを聞いたことはありませんか?

ワクチンは時に効果を外す時もあるのです。皆さんの自覚としてはどうでしょうか。

なぜワクチン効果に毎年、当たり外れがあるのでしょうか?

一つの理由はインフルエンザウイルスがRNAウイルスだからです

理由としては、その年の日本の流行りのインフルエンザウイルスが、ワクチンの想定株と外れる可能性もあります。インフルエンザがRNAウイルスということもあり 繰り返す人-人感染を経て抗原性が変異していくこともあるからです。

もう一つの理由はワクチンの製造過程からの影響もあります

ですがそれだけではなく、ワクチンの製造過程にも一因はあります。

ワクチンは鶏卵から孵化・精製される製造過程にて、抗原の変異がとても起こりやすいです。そもそも狙った抗原性価値のあるワクチンを大量複製製造していく過程でどうしても変異が起きてしまうのです。

大量生産していく上で、増殖能の高さも求められ抗原の変異も無視できないとなると、ワクチン完成品が生じる抗原性のずれのは実際のところ大きな問題点となっているようであります。

また、鋳型となるウイルスも経年的に変異があるようです。ある年のインフルエンザ大流行の理由は、ワクチンが外れてしまった影響が大きいとも指摘をされております。

結果、ワクチンと感染ウイルスの反応が離れてしまい、ワクチン効果が乏しいことも

つまりは、実際のインフルエンザ感染時に、せっかくワクチンで獲得した抗原抗体との反応が遠いほど、ワクチンの実効果は乏しくなってしまうというのが大きな理由なのです。

そのために、ワクチンの効果の乖離が年々起きてしまうのです。

もちろん、未来を予想することはできても、未来を必ず言い当てることができないように、その年に製造されたワクチンが実際に流行のインフルエンザに効果があるかということは、インフルエンザの時期に入ってみないと分からないのです。

それでもインフルエンザワクチンの接種は推奨されるのです

インフルエンザワクチンには、一定の効果がしっかりと示されているのです

インフルエンザワクチンをみんなで接種することは非常に重要なのです

①小児(8歳まで)・高齢者(65歳以上)・妊婦・免疫低下患者・医療従事者接種の有用性

②医療従事者は自らのインフルエンザ感染を防ぐだけではなく、“療養患者へのインフルエンザ感染を減らすことができる“ため特に推奨されています

インフルエンザによる重症化や合併症の予防効果があります

①感染や発症そのものを完全には防御できない、がしかし、重症化や合併症の発生を予防する効果はあるのです

②高齢者に対してワクチンを接種すると、接種しなかった場合に比べ、死亡の危険を1/5に、入院の危険を約1/3~1/2減少させることが期待できるのです。 (感染研究所センター,JAMA 1993;270:1956-61)しかし脳炎のリスクを優位に下げたという報告はない(WHO No.47,2012,87,461-476)

WHOの見解としては、一次予防であるインフルエンザワクチンをハイリスク者に対して行うことは、インフルエンザが引き起こす症状や病死や集団感染を防ぐのに有用であり、かつ費用対効果に見合う点もデータとして添付しています。もちろんその為にも、より有用なワクチンの選出と製造が大切であると伝えているのです。

特に、小児(8歳まで)・高齢者(65歳以上)・妊婦・免疫低下患者・医療従事者の接種の有用性は強く指摘されております。

ご自身の重症化を防ぐことはもちろんの事、これらの方達にインフルエンザがうつってしまわないためにも、我々のインフルエンザの予防接種も大切であると考えられます。

インフルエンザワクチンの注意と副反応について

本剤の成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある者には十分な注意と配慮および説明が必要とされております。

インフルエンザワクチンで良くみる副反応

全身症状(成人頻度不明)発熱、悪寒、頭痛、倦怠感、関節痛、筋肉痛等を認めることがあるが、通常、2~3日中に消失するとされております

局所症状(成人頻度不明)発赤、腫脹、硬結、熱感、疼痛、しびれ感等を認めることがあるが、通常、2~3日中に消失するとされております

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