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コロナうつ、コロナ不安、コロナ自殺

2021.12.302022.12.27

コロナうつ、コロナ不安、コロナ自殺

2020年1月に日本でも新型コロナウイルスの感染者が確認されてから、もうすぐ3年が経ちます。コロナうつやコロナ不安、コロナ自殺といった言葉は、今では誰もが聞いたことのあるものになりました。

この記事では新型コロナウイルス感染症がどのようにストレスと結びついているか、自殺にどれだけ大きな影響を及ぼしているかなどを説明していきます。

コロナうつやコロナ不安、コロナ自殺とは

コロナうつやコロナ不安、コロナ自殺。新型コロナウイルス感染症（以下、新型コロナ）がストレスの主な原因となって生じたうつ病や不安状態、自殺のことです。その原因が新型コロナ関連であるため「コロナ」が名前に付いていますが、症状の内容自体は他の原因によって発症したものと変わりません。例えば、コロナうつでは気分の症状（好きなことをしても楽しめない、憂うつな感じがするなど）や身体症状（眠れない、頭や肩などが痛い、食欲がないなど）がよく見られますが、これは他の原因で発症したうつ病と同じものです。

新型コロナ感染症に伴ううつ病について解説しております

新型コロナによるストレス

新型コロナによるストレスとして、例えば以下があります。

・健康面
（例）新型コロナにかかることや後遺症などへの不安、自粛した生活による運動不足、食生活の乱れ（食べすぎ、甘いものを我慢できないなど）と体重増加など

・人間関係

（例）直接会う機会の減少、触れ合いを控えたりマスクを着用したりなどの感染対策を意識しなければならな
い、ワクチンについての考え方の相違での喧嘩や別れ

・仕事面

（例）収入の減少や失業

業種によっては人手不足による過重労働など

このように一言に新型コロナによるストレスといっても、その中身は多岐に渡っており複雑です。

また、ストレスは持続期間にも注目しなければなりません。なぜならば、ストレスに抵抗して頑張ること自体も私たちにとってストレスとなるためです。例えば、高校受験や大学受験はとてもしんどいものですが、必ず終わりが来ます。そのため、体調が悪いときには少し休んでペース配分したり、「あともう少しだけ頑張ろう！」と奮起したりできます。しかし、新型コロナはいつ完全に収束するか分かりません。波はあるものの常に感染対策を心がけた生活を送らなければならないため、絶えずストレスにさらされ続けることになるのです。

こころの免疫力の低下

コロナうつやコロナ不安、コロナ自殺の要因として、新型コロナに関連した「こころの免疫力の低下」も無視できません。こころの免疫力が低下する要因として、例えば以下があります。

①「幸せホルモン　セロトニン」が分布されにくい

日照時間の短い北欧諸国では季節型のうつ病（特定の季節になるたびに発症するうつ病。一般的に冬が多い）が多いですが、その大きな原因は日光を浴びる時間が短いからセロトニンが十分に分泌されないことにあります。セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれていますが、気分の安定にもかかわってきます。外出自粛の影響で日光を浴びる時間が短くなったわたしたちにとってセロトニンの分泌不足問題は他人事とは言えないでしょう。

②こころの休息を十分に得られない

睡眠や栄養や不足すると体の免疫力が低下するように、十分な休息を得られないとこころの免疫力が低下します。十分な休息が得られない理由のひとつとして、テレワークも挙げられます。コロナ前までの生活では、朝に着替えて出社することで仕事モードになり、夕方に帰宅して一息つくことで仕事から解放されていました。本来は仕事から解放されているはずの自宅でテレワークを行うことは、頭の中で仕事モードのオンとオフを切り替えにくくしてしまいます。そのため、本来は夜のオフ時間でも気持ちが休めず、こころの免疫力が低下することになるのです。

コロナ自殺の深刻さ

東大などの研究チームの試算によると、2020年3月～2022年7月の2年4ヶ月の間に新型コロナの影響で増加した自殺者は8,000人に上ると言われています。 1ヶ月で約300人が、1年間で約3,600人が新型コロナの影響で自殺していることになります。2021年の自殺者数は2万1,007人なので、単純に考えると自殺した原因の約15%を新型コロナが占めていることになります。

研究チームが試算した自殺者数の内訳を男女別・年代別で見ると、性別に関係なく全ての年代で自殺者は増えていました。そして、その中でも20代の女性で自殺者が最も多く、約1,100人に上りました。研究チームによると、今回の試算において不景気や失業で説明できる自殺者はわずか15%ほどであると言われています。自殺には様々な要因が絡むものです。そのなかでも、日本では1998年に前年と比べて自殺者数が大幅に増えて3万人に上ったように、これまでは社会経済が自殺の大きな要因と考えられてきました。つまり、これまでとは違う原因がコロナ自殺には絡んでくると言えるでしょう。そして「新型コロナによるストレス」でも見てきたように、その原因は複雑であるため対策を考えることは極めて困難であると考えられます。