クリニックブログ
2022.01.272022.12.27
月経前不快気分障害~併存症や鑑別診断など~
月経前不快気分障害~併存症や鑑別診断など~
月経周期に沿って症状が出る点や症状の内容など、月経前不快気分障害と似た特徴を持つ疾患は多いです。正確に月経前不快気分障害の診断を下すためには、それぞれの疾患との違いを理解しておく必要があります。
この記事ではDSM5を元にして、月経前不快気分障害の併存症や鑑別診断などについて説明します。
有病率
月経前不快気分障害の12ヶ月有病率は、月経のある女性の1.8~5.8%と言われています。なお、月経前不快気分障害の診断基準を満たしており、かつ他の精神疾患は併存していないという厳密な基準を設けた場合の推定有病率は1.3%です。
症状の発展と経過
月経前不快気分障害を発症する恐れのある年齢層は、初潮を迎えてから閉経するまでの層です。閉経が近づくにつれて症状が増悪することもあります。なお、更年期障害の治療で周期的ホルモン補充療法を行うと月経を再び起きるようになることから、月経前不快気分障害の症状が再燃することもあります。
月経前不快気分障害のリスクファクターと緩和要因
月経前症状の50%に遺伝的な要因が関わっていると考えられています。そのため、月経前不快気分障害の遺伝率こそ明らかにされてはいませんが、そのリスクファクターとして遺伝は無視できません。また、環境要因のリスクファクターとして仕事に家事や育児・介護という多彩な社会的役割、対人関係での外傷体験、ストレスや季節の変化などが挙げられます。
なお、経口避妊薬を飲むことで女性ホルモンの働きがコントロールされるため、月経前症状が緩和される可能性があると考えられます。
併存症
けいれん性疾患やアレルギー、偏頭痛、喘息などの医学的疾患や、双極性障害や抑うつ障害、不安症群、神経性過食症、物質使用障害などの精神疾患が、月経の始まる3~10日前の月経前期に増悪することがあります。これらの疾患が月経前不快気分障害と関係するのならば、月経がいったん終わった後には症状がほとんど見られない期間が存在しなければなりません。医学的疾患や精神疾患の症状が月経後も見られるならば、「月経前期に医学的疾患や精神疾患が増悪しているに過ぎない」と判断され、月経前不快気分障害の診断を下すべきではありません。とはいえ、これらの医学的疾患や精神疾患は月経前不快気分障害と併存することもあります。現在罹患している疾患とは別に月経前不快気分障害に特有の症状や機能障害が見られる場合は、月経前不快気分障害の診断も下せます。
鑑別診断
月経前不快気分障害と鑑別すべき疾患は以下の通りです。
月経前症候群
月経周期に合わせて心身の不調が生じる他の精神疾患として、月経前症候群があります。月経前不快気分障害では著しく不快な気分状態にあることや、行動面や身体面における症状が4つ以上あることが診断を下すうえで必要でした。しかし、月経前症候群ではそれらの条件は診断を下すにあたり必要ないため、月経前症候群は月経前不快気分障害よりも軽度なものであると考えられています。
月経前不快気分障害の中核症状は著しく不快な気分です。気分の障害は認められず、月経周期に沿った行動面や身体面の症状のみが見られる場合は、月経前症候群と診断されます。
月経困難症
月経困難症とは、月経に伴って腹痛や腰痛、お腹の張り、吐き気などの苦痛が生じることです。まれにイライラや憂うつなども生じますが、メインとなる症状は身体的な苦痛です。
また定義上、月経前不快気分障害では月経開始前から症状が見られますが、月経困難症では月経開始と共に症状が見られるという違いもあります。
ホルモン療法の使用
月経困難症のように月経に伴って苦痛を感じている女性の中には、ホルモン療法を受けている方もいます。しかし、ホルモン療法によってホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)が生じることがあり、それに伴い睡眠障害や不安も生じることがあります。ホルモン療法を開始した後に不安や睡眠障害が生じた場合、物質・医薬品誘発性抑うつ障害の可能性も考えなければなりません。
双極性障害、うつ病や持続性抑うつ障害(気分変調症)
双極性障害、うつ病や持続性抑うつ障害(気分変調症)の女性の患者さんは、「自分の病気は月経前不快気分障害である」と思っていることが多いです。月経前不快気分障害と上記の疾患の症状は重複していますが、月経前不快気分障害では月経周期に合わせて症状の波があるという特徴があります。毎日の状態を記録してもらうことで、月経前不快気分障害であるのか、それとも間欠性に症状が生じているけれども月経周期とは関連していないのか、あるいは慢性症状であるのかを見分けることができます。
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