クリニックブログ
2022.12.272022.12.27
広場恐怖症~診断基準・診断的特徴・有病率~
広場恐怖症~診断基準・診断的特徴・有病率~
パニック症のように予期できないタイミングで症状が出ることもあれば、特定の状況や場所にいるときにだけ症状が出るという精神疾患もあります。これは広場恐怖症と呼ばれ、パニック症と同様に外出することすらできなくなることもあります。
DSM5における広場恐怖症の診断基準や診断的特徴、有病率について、この記事では詳細に説明します。
広場恐怖症の診断基準
広場恐怖症の診断基準は以下の通りです。
A 以下の状況のうち2つ以上について非常に強い恐怖や不安を抱く
(1)公共交通機関の利用(例 電車、バス、飛行機)
(2)広い場所にいること(例 駐車場、橋)
(3)囲まれた場所にいること(例 教室、エレベーター、会議室)
(4)列に並ぶこと、大勢の人がいる場所にいること
(5)家の外に自分1人でいること
B 基準Aの状況にいると「とても気分が悪くなって倒れたらどうしよう!もしそうなってしまったら、誰も私を助けてくれない!」と恐怖を感じるため、その状況を避けようとする
C 基準Aの状況に対してほぼ常に恐怖や不安を感じる
D 基準Aの状況をできるだけ避けようとする
(例)行動的な回避…スーパーに行かないで済むように宅配で日用品を購入する
認知的な回避…その場所にいることを意識しないように頭の中でひたすら別のことを考え続ける
基準Aの状況にいなければならない場合は、自分を助けてくれる人を必要とする。助けてくれる人がいなければ、強い恐怖や不安を抱きつつも何とかその状況に耐えている
E 基準Aの状況に対して抱いている恐怖や不安は、実際にその状況で起こりうる現実的な危険や社会文化的な考えと比べてとても強いものである
F 基準Aの状況への恐怖や不安、その状況への回避は6か月以上続いている
G その症状(基準Aの状況への恐怖や不安、その状況への回避)は、臨床的に意味のある苦痛や、勉学や仕事、家事などの大切な領域における機能障害をもたらしている
H パーキンソン病や炎症性腸疾患などの他の医学的疾患が存在するにしても、基準Aの状況への恐怖や不安、その状況への回避は明らかに過剰である
I その障害は他の精神疾患では上手く説明できない
(例)状況に対しての限局性恐怖症、社交不安症、強迫症、醜形恐怖症、心的外傷後ストレス障害、分離不安症など
広場恐怖症の診断的特徴
広場恐怖症とは、特定の状況や場所にいることがきっかけとなって非常に強い恐怖や不安が生じるという精神疾患です。実際にその状況や場所にいるときだけではなく、「スケジュールの都合上、どうしても飛行機で出張に行かなくてはならない…」と想像するだけでも恐怖や不安は生じます。そのため、重度の場合は自分一人で外出することすらできなくなることもあります。
その名前の通り、広場恐怖症の患者さんが恐怖や不安を感じるものは「特定の状況や場所」です。診断基準Aには広場恐怖症の患者さんの多くが恐怖を感じる場所が挙げられていますが、他の状況や場所が恐怖対象となることもあります。広場恐怖症の患者さんの中で以前にパニック症やパニック発作を発症した人の割合は30~50%と言われています。過去の特定の状況や場所で生じたパニック発作が広場恐怖症の原因となることもありますが、これだけが広場恐怖症の発症原因というではありません。基準Bの通り、その状況や場所で「起きたらどうしよう…」と不安になることはパニック発作に含まれる症状に限りません。嘔吐や便意で悩むこともあれば、高齢者では転倒すること、子どもでは迷子になることに不安になることもあります。
なお基準Eの通り、広場恐怖症の診断を下すうえでその恐怖や不安が妥当なものか判断しなければなりません。その状況や場所にいることに本当に危険が伴う場合、広場恐怖症とはなりません。例えば、「暴力事件が最近起きたから同じ路線の電車に乗るのが怖い」という恐怖は合理的なものと言えるでしょう。また、イスラム教の教えの元では女性1人で外出してはならないとされています。そのため、イスラム教を信じている女性が外出を回避しようとしても、これは社会文化的に考えて妥当なものであるため広場恐怖症には当てはまりません。とはいえ、「外出しているときに転倒したら危険だから…」といってそれなりに健康な高齢者が一歩も外出しようとしないならば、転倒への不安が実際の危険性と釣り合っていないと言えるでしょう。その状況や場所にいることで生じると患者さんが考えている症状や問題と実際のリスクが釣り合うものであるか判断する必要があります。
有病率
青年や成人が特に広場恐怖症を発症しやすく、その割合は1.7%であると言われています。とはいえ稀ではありますが、子どもや高齢者が広場恐怖症を発症することもあります。パニック症と同様に男女で違いが見られ、女性の罹患率は男性の罹患率より2倍高いです。
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