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2017.02.192017.02.19

抗うつ薬は効果がゆっくりあらわれる?

抗うつ薬には、飲みはじめてすぐには効果があらわれず、しばらく続けていると徐々に症状が改善されてくるという特徴があります。一方、吐き気などの副作用があらわれることもありますが、このような副作用は、一般に飲みはじめからあらわれて、やがておさまってきます。つまり、飲みはじめは、からだをくすりに慣らす期間ともいえます。

患者さんはくすりを飲みはじめてもすぐに効果があらわれないことに焦りを感じたり、副作用を心配したりすることがあるかもしれません。特に、うつ病の患者さんは「否定的なものの見方」になる傾向が強いので、「やはり医療は役に立たない」、「かえって自分は悪くなる」といった考えに陥ることもあります。そんなときには、ご家族が「くすりに関する心配事はきちんと担当の医師に話して、どうするのがよいか相談しようよ」と声をかけてください。そして、診察にはご家族も一緒に付き添うと患者さんも安心して通院できます。

ただし、こんな時はご注意いただきたいのですが、うつ病だと思っていたら、躁状態になることもあります。

抗うつ薬の飲みはじめに、まれに患者さんが普段以上に元気になり、夜も眠らなくても調子がよくなり、いつもと違った様子がみられることがあります。また、これまで温厚だった患者さんが、攻撃的になったりして「性格が変わったのか?」と感じさせられることがあります。この理由として、もともと患者さんが単なるうつ病ではなく、躁状態とうつ状態を繰り返す双極性障害(躁うつ病)という病気だった可能性があります。また、このような状態は抗うつ薬の副作用であることもあります。

 最初にうつ病と診断された患者さんの約10%は、最終的に双極性障害(躁うつ病)ともいわれています。また、逆に双極性障害(躁うつ病)のうち約40%は単なるうつ病と診断されるともいわれています。このように、双極性障害(躁うつ病)は見過ごされがちで、専門医でも診断が難しいことがあります。

 双極性障害(躁うつ病)が見過ごされている一番の理由として、患者さん本人は「躁状態」のことを、「調子のちょうどよい状態」と思っている場合が多いことがあげられます。つまり、双極性障害(躁うつ病)をきちんと診断するには、患者さんからだけの情報では不十分で、ご家族からの客観的な情報が重要になります。

 

主治医との信頼関係が、治療のカギであるといえます。

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