クリニックブログ
2020.04.272022.05.24
【コロナの共感疲労】コロナニュースを見続けているとなぜ疲労感が強いのか!?対処法とは
コロナニュースを見続けていると疲労感が高まる?共感疲労にどう対処するか?
どのテレビ番組もコロナ、コロナ、コロナ…。何となく、コロナニュースを見続けていませんか?コロナについての知識を得ることは確かに大事です。しかし、コロナニュースの見すぎはうつ病にもつながる恐れのある行為です。
この記事では、新型コロナ感染症(COVID-19)に関連したニュースを見続けることがどうしてうつ病にも繋がりうるのか、お話しします。
「共感疲労」という言葉を聞いたことがありますか?
共感疲労とは、トラウマや悲しみを背負った人の話に聞いたときに、相手に共感しすぎて感情を強く揺り動かされてしまい、精神的に疲れてしまうことです。
「カウンセラーみたいに人の気持ちに繊細ではないから自分は大丈夫」と思っている人はいませんか。実は、私たちの脳には「ミラーニューロン」というものがあります。カウンセラーほどの共感能力は別格にしても、誰でも生まれつきある程度は人の気持ちに共感することができるのです。ちなみに、脳科学的に女性のほうが男性よりも共感能力が高いと言われています。
そのため、特に女性は共感疲労に気を付けなければなりません。
ツイッターの「#共感疲労」からうかがえる共感疲労の多さ
悲しいことですが、トラウマになりうる事態は珍しいものではありません。2011年の東日本大震災以来、数年ぐらい間隔で大きな地震や台風が各地で起こっています。そのたびに各地の人々が苦しんでいる姿がテレビではクローズアップされます。
もちろん、災害情報を知ることは支援や次の災害への対策に結びつくので、大切な情報です。しかし、災害で苦しんでいる人を見ることで、体調を崩す人は決して少なくありません。「#共感疲労」がツイッター上にあることから、共感疲労で苦しんでいる人はある程度いるのだろうと推測されます。
共感疲労はうつ病にも繋がる危険がある
共感疲労に陥ると、悲惨なニュースを見た時に気分が不調になるだけではありません。
ニュースを見るだけで涙が込み上げてきたり、眠れなくなる、食欲がなくなる、悪夢を見る、何かと過敏に反応してしまうなど多彩な症状が出でしまいます。
さらに何か楽しいことがあって笑っただけでも、「苦しんでいる人が今もいるというのに…」と自分を責めてしまうこともあります。本来、笑うことには免疫力を高めたり、ストレスを下げるなど、健康を高める効果があります。
笑顔ができず免疫力が低下している中で、上記の様々な症状が出るので、やがてうつ病を患ってしまう危険性が高まるのです。
共感疲労にならないようにするため
共感疲労に陥らないようにするためのセルフケアとして、例えば以下の4つがあります。
①自分の症状が「共感疲労」だと自覚する
ニュースを見ていると急に涙があふれたり、なかなか眠れなくなったりすると、「何か変な病気になったのではないか」と心配になるでしょう。特に、コロナウィルスが猛威を奮っている今は外出するだけでも不安なことは多いです。
そのため、もしこのブログで書かれている内容が自分に当てはまる方は、「コロナ患者さんの気持ちや、コロナの影響で困っている人々に共感しすぎて、疲れてしまっているのだ」と自覚すると、少しは安心できると思います。
ただ症状があまりにも苦痛な場合は、話は別です。早めに心療内科やメンタルクリニックに相談してください。
②コロナに関連したニュースを制限する
新型コロナのニュースを見ることは、自分が病気にならないために大切なことです。でも、共感疲労を起こしている場合は、ニュースをある程度、制限する必要があります。例えば、一日のまとめの夕方のニュース30分だけを見るなど、区切りをつけましょう。
また、テレビニュースではコロナ患者さんや遺族などのつらい現状の映像が、個人に焦点を置いて流れますし、その話題を解説をするアナウンサーの感情も視聴者への影響力がとても強いのです。一方で、ネット上のニュース記事は文字と画像数枚だけのことが多いです。
視聴者と読者という立場の違いからも、テレビよりもネットニュースの方が比較的共感しづらいため、共感疲労しやすい方はネットニュースから情報を入手するようにしましょう。
③感謝していることをノートに書きだす
共感疲労に陥っている人は暗いことばかりに心を支配されている状態とも言えます。そのバランスを取るために、感謝していること、嬉しかったことなどをノートに書きだしてみましょう。ただし、スマホでは予測変換機能を使っていなかったとしても、頭に内容がなかなか入らないことがあります。
人は、体の一部をしっかりと動かすことは印象にとても残りやすいです。感情面の整理や、心理的な不安感情の支配を解消する上では、手を使ってノートに書くのが大事でもあります。
④つらい気持ちを人とシェアする
家族や友人などにニュースの犠牲者を見るとつらくなることを話すのも共感疲労のケアとして有効だと、研究により証明されています。「暗いニュースを知って自分がつらいのなら、その話を聞いた人もつらくなるのでは?」と思われるかもしれません。
一人では重いことでも、2人で分け合えば大丈夫である事も多いですし、2人で共有するからこそ重いという感情ではなくなることが多々あります。
また、話を聞いてもらったことで気持ちが軽くなったことを相手に伝えれば、その相手は自分が話を聞いたことで救われた人がいると、自分に対して肯定的な気持ちになります。
その気持ちは共感疲労を抑制することに繋がると考えられます。
まとめ
私たちは共感する力を持っているため、テレビで見るコロナ患者さんや遺族の気持ちを察してしまいすぎて疲れる恐れがあります。
この記事では、共感疲労へのセルフケアをいくつか紹介しました。ただし、共感疲労が悪化してうつ病になっている場合は、セルフケアだけでは症状の改善が難しい場合が多いです。症状が悪化しすぎる前に、心療内科やメンタルクリニック,精神科などの医療機関を受診することをおすすめします。
→新型コロナ【自粛解除・ポストコロナでどうなる?】メンタルの不調を起こさない対策とは
→当院における新型コロナ感染予防対策をご紹介(あま院Ver)
→【精神科医師監修】新型コロナ自粛でストレスをためこみすぎない過ごし方とは
→新型コロナ感染症に関連した心の不調・ストレスとは/コロナうつ・コロナ不安
野村紀夫 監修
ひだまりこころクリニック 院長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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